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「仮説検証型」の理科授業~概要編~

「考察」を「仮説の検証」として捉えて行う理科の授業に行きつき、現在実践しています。
問題解決の過程をただなぞり、とりあえず実験楽しかったね、といった感じの授業よりははるかに良いという実感があります。
今回の「仮説検証型」も問題解決の過程をたどりますが、ただなぞるのではありません。子どもたち一人ひとり全員が、問題を「自分ごと」として捉え考えていける授業デザインを意識しました。

当たり前と言えば当たり前の理科授業の形ですが、その当たり前が学校で行われていないのではないかという違和感は以前からありました。
昨年は5年生の3クラスを担当し、今年度その学年を持ち上がって、現在も3クラスで授業をしています。全てカラーの違うクラスですが、一定の効果が出てきているな…とは感じています。

1.子どもが動き始める文末表現

『…よって、今回の仮説は「正しい(正しくない)」といえる。』

「仮説検証型」において、子どもたちが書く「締め文」です。

授業者がこの「締め文」を毎時間意識しながら授業することで子ども達は「結果を基に考え」、「理由・根拠を明確にして説明する」経験を重ねていきます。
初めの段階では毎時間提示します。

「仮説」が「自分ごと」になっている必要があり、この「締め文」までの過程が重要になってきます。

2.「仮説検証型」のだいたいの流れ

どんな実践もそうですが「段階」を踏む必要はあります。
必ずうまくいく「型」など存在しません。学級の子どもたちをよく観察し、段階的に指導していくことが当然必要になります。
これを前提とした上で、仮説検証型初期の「だいたいの流れ」を示しました。子どもたちの様子と照らし合わせてみながら、柔軟に対応する必要はあります。

~初期の「仮説検証型」だいたいの流れ~

⓪導入
子どもたちの「なぜ?」を引き出す

①問題の設定
ある現象に対して問いを立てる

②簡単な予想する
その問いについての簡単な予想を2〜3用意しておき、その中から選択させる

③仮説を立てる
予想の段階で最も多かったものについての仮説を立てる
(他の予想が潰れるわけではない。後述)

④実験計画
教員から提示する/自分たちで計画する/教科書を基に計画する
※今回の「仮説」が検証できる計画を立てる

⑤実験して結果をまとめる
※結果のまとめ方(表・グラフなど)は事前に丁寧に指導する必要あり

⑥考察(仮説の検証)
結果を基に、自分たちが立てた仮説は「正しい」といえるのか、それとも「正しくない」のかを「理由・根拠」を明確にして判断し、2人以上に説明し、納得させる(納得したらサインする)。(交流)

⑦結論を出す
他人との交流で得た考えと、自分の考えから総合的に判断し、①で設定した問題に対する答え(つまり結論)を個人でまとめ、提出する。

イメージが湧きにくいと思いますので、「ものの燃え方」を例に説明します。

3.「ものの燃え方」で「仮説検証型」を行うと

⓪導入
「燃えたろうそくを口のあいたビンに入れると火はどうなるかな?」
「じゃあ、フタをするとどうなるかな?」

①問題の設定
「ビンにフタをするとろうそくの火はどうなるだろうか?」

②簡単な予想
「次の3つから1つ選んでください」
「燃え続ける」「火が小さくなる」「火が消える」

③仮説を立てる(「火が消える」が一番多かったとして)
「ビンにフタをすると換気できないので火が消える」(私のクラスで実際に立てられたものです)

④実験計画
「換気ができない」という仮説を検証できるような計画を立てる。
・燃えたろうそくをビンに入れてフタをする
・空気の通り道を作ってから、燃えたろうそくをビンに入れる
・空気の流れがわかるように線香のけむりを使う
…などが考えられる。

⑤実験して結果をまとめる

⑥仮説の検証(考察)
「ビンにフタをすると換気できないので火が消える」について、自分たちが行った実験の結果に基づいて説明を考え、他のグループの2人以上を納得させることを目指す。

⑦結論を出す
「ビンにフタをすると空気が入れかわらなくなるので火が消える」…などの最終的な結論を各自がノートに記載し、提出する。

「理論編」へ続きます。

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