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今週のkinologue【11/29-12/5】

冬晴れの青空に銀杏や紅葉が美しく映える季節、あっという間に12月になった。これまでは共同配給者がやってくれていた、劇場との精算→請求書作成→送付という事務作業が月末にどっと押し寄せた。あああ、一人でやるってこういうことよね。『〈主婦〉の劇場』の上映劇場も大体あと半分というところ。このまま、ゆるゆると年明け以降も上映は続いていく。

何年ぶりかわからないくらい久しぶりにポレポレ東中野へ『スズさん』を観に。「家事」という共通のトピックでいくつかのメディアで一緒に紹介されたり、『〈主婦〉の学校』初日に監督が観に来て下さったので、早く観に行かねばと思っていたのにやっと、やっと。今年の春頃、横浜シネマリンで予告編を見たときには、戦争+スズさんという名前から『この世界の片隅で』関連作品だと思い込んでいた。監督に伺ったところ、それは偶然だったそうだが、本編を観ると地続きなのを感じた。横浜の空襲の記録映像や和子さんの証言が生々しく、衝撃的だった。90年代になって撮影したというスズさんの昭和の家しごと。今期の朝ドラでやたらおはぎを作っているシーンが多いせいで、最近おはぎが気になっていたが、スズさんのおはぎは粒じゃなくてこしあん。手間かかってます。スズさんは家族のために手を動かしているというが、どんな家しごとも本当に楽しそうなのだ。「主婦の学校」の学生たちも手を動かしているときには笑顔があふれて楽しそうなのを思い出した。

昨日の夜は神戸YWCA・ジェンダーを考える会主催の『〈主婦〉の学校』オンライン感想シェア会に参加。「家事って楽しいものなのか?」を考えるのにちょうど良かった。幅広い年齢層のジェンダーを考える会のメンバーさんたちと各地の劇場で観た人たちが集まり、先ずは映画の感想からシェア。「いかに家事は女性がやるものと思い込まされていたか」「知るきっかけがあったら生活は楽しくなるのかも」という気づきがあったこと。「淡々とした様子を見ていると、こちらも手を動かしたくなる」という人もいれば「淡々としていて、どう受け取っていいかわからなかった。自分の生活とは全くちがう桃源郷のよう」という人も。同じ「淡々と」から異なる反応で面白い。若い女性には「3年くらい働いたら辞めて主婦になりたい=楽したい」と思っている人もわりといるという話に「主婦は楽じゃないのに!」と主婦の怒りの反論(笑)。この「楽したい」は自尊心が持てない=自分にも相手にも尊厳が持てないことの表れであり、その根底には若い人たちが「頑張っても報われない社会」と思っていたり、「依存的な親密な人たちとの関係とそれ以外という分けた関係の作り方」があるのでは、という興味深い指摘があった。なるほど、、、それは根が深い問題。ジェンダーを考えるとは「自分と相手を大切にすること、自尊心をもつこと」。ひとりひとりが生活のなかで少しずつ発信すること、気づきのチャンスをつくっていくこと、色んなロールモデルを見せていくことで、自分と相手を大切にできる社会へと変わっていくのではないか。この映画もその役に立てればいいなと改めて。感想シェア会、楽しかった〜。またオンライン・ダイアローグという名で、18日に開催予定!




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