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今週のkinologue【7/4-10】

たくさんなっていた柿が、小さいままたくさん落ちている。実に対して木がもたなくなっているのでは、と言われて数年。かなりおじいちゃんの木なので、無理もさせられない。でもこうやって秋に向かって色づいていくであろう実もある。選挙直前に起こった不穏な事件と選挙の結果にモヤモヤしながら、柿と一緒に秋への準備が始まった夏。

今週から来年1月公開予定の新作の準備を本格的に開始。コロナ禍で本国の公開が遅れたために、日本では2年遅れての公開。kinologueの配給作品ではない。コロナ直前の2020年2月以来だが、時間的な余裕があれば、他社配給作品の宣伝も受けることにした。正直受けるのを迷っていたときもあったが、違う業界のフリーランスの先輩から「表に出さない仕事も大切」と言われた。仕事を自分で作るしかなく、受注することが殆どない働き方をしてきたので、そういうものかと目から鱗。みんな、そうやって働いているのね。確かに、一人でこじんまりと配給をやっているとスタイルが固まってしまうので、公開規模の違う映画と配給ではない立場で向き合うのは、仕事の見直しにもなって有難い機会なのだ。2年前に宣伝計画の骨組みを作ったところでストップしていたものを掘り起こしていく。色々なことを考えながら、久しぶりに本編を観ていたら泣きそうになった。シンプルなストーリーだけど、なんか沁みるんだよね。そして、これをどうやって届けていくか、考えて形にするのは本当に楽しい。これが宣伝の醍醐味でしょ、と心から思う。配給作品の立ち上げと重なっていくので、早めに進めていかねばならないけど、十分に味わっていきたい。

海外版と同じポスター。アメリカでは今年のベストフィルムポスターに選ばれたとか。

今週はお待ちかねの『リコリス・ピザ』。ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)の前作『ファントム・スレッド』はじっとり重くて(『ザ・マスター』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も重いけどじっとりはしてない)、これからはこういう方向性なのか、と気持ちが遠のいていった。PTA作品には欠かせない存在だったフィリップ・シーモア・ホフマン(PSH)がいなくなったことが大きいのかな、この人、これからどうなっていくのだろうかと余計な心配もしていた。PSHは『ワンダーランド駅で』『ハピネス』の頃からご贔屓の俳優で、PTAとの相性も素晴らしかったのに、50にもならないうちに亡くなってしまい、とても悲しかった。そして、今回の新作が発表されたとき、PSHの息子が主演と聞いてびっくり!早く観たくて仕方なかった。
こういう映画、久しぶりだー!という高揚感に包まれた。変な親切さは全くない。リコリス・ピザって?にも全く答えないw とにかく気持ちが揺れたら走るのだ。ただそれだけ。それだけでいいじゃないか!と思わせる。10代のPSHはこんなだったのかなぁと想像させるだけでぐっとくる。PTAのもとに、別の姿になって帰ってきてくれてありがとう!と嬉しかった。オープニングの写真撮影のシークエンス、最高だったなぁ。あれだけでもまた観たくなる。そして『パンチドランク・ラブ』や『マグノリア』も観たくなった。どちらも配信では見られない。DVD持っててホントよかった。
ここ最近、観たい映画がいろいろ出てきて、それも嬉しい。仕事に集中しだすと他の映画に没頭できなくなるから、観たいものは早く観ておかねば。


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