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今週のkinologue【4/19-25】

3度目の緊急事態宣言下、穏やかじゃない日曜だが、無事今週中にアップ。週末に入る前に字幕チェックを翻訳者に戻さなくてはならなかった。が、なかなか手こずった。その間に、参加した座談会の原稿チェックも挟み、誰かがまとめた言葉に手を入れるというのは、実に難しいなと。表現する言葉の選択や間合いの感覚が異なると、すぐに引っかかってしまう。しかし、字幕にしても雑誌の原稿にしても字数は限られていて、その中でまとめるのはプロの仕事であり、そこにおいてはこちらは素人だ。でもなんか違う、こういうことを言いたい、というのは伝えておきたい。「素人が色々すみません」という断りを入れつつ、どちらも赤字をたくさん入れて戻してしまった。雑誌は校了したが、字幕の方は週明けにまた修正版が戻ってくる。さて、どうなるやら。細かいことはさておき、改めて字幕と合わせて見ると、この映画を今年配給したいと思ったのは間違ってなかったなとしみじみ。ちゃんと届けたい人に届くように、これから大事に育てていかねば。

今週は、一時トレンドワード1位になっていた、アップリンク渋谷閉館のニュースに触れざるを得ない。

アップリンクさんとは一昨年、『サウナのあるところ』を共同で配給したので、劇場のある渋谷のビルには何度も行った。もちろんプライベートで何度も映画を観に行っていたが、突然荷物を持ったままトークイベントに登壇させられたこととか、フィンランドのおじさんたちの舞台挨拶&サイン会や原画イラストの展示設営なども色々。タベラでも色んな人とゴハンを食べたし、細い廊下にイベントのチラシを置いて貰ったとか、思い出すとキリがない。あの決して広いとは言えないスペースにぎっしりと密に、でもユルく何でも受け入れている雑多な雰囲気は他の劇場にはないものだ。それは四半世紀以上、渋谷で発信してきたアップリンクさんの歴史を体現していて唯一無二、それがなくなるのは本当に惜しまれる。一昨年の年末、共同配給の振り返りと今後について話し合う機会があり、とても前向きな時間だった。そのわずか2ヶ月後にコロナ禍が始まり、それから現在に至るまでにアップリンクさんに起こったことなど全く想像もできないくらい、これからの希望と(公開と身内の不幸が重なった時に支えて貰った)感謝に満ちたものだった。アップリンク渋谷は、一般的にはコロナ禍で閉館となってしまった劇場のひとつとして刻まれるのかもしれないが、それまでの、少なくともあの年末の日からのことと共に、自分の中では刻んでおきたい。
5/11までシネコンはほぼ臨時休館となってしまったが、ミニシアターは営業する劇場もある。誰とも話すこともなく、感染予防対策がしてある映画館は安全だと知っている人は、恐らく連休中もミニシアターに行くだろう。長引く自粛生活でギスギスしがちな日々に必要なのは、他者への想像力。ミニシアターの多様な映画は、きっとそんな気持ちを開いてくれる。私たちの仕事はそのためにあるのだ。

字幕チェック作業は庭で気持ちだけのんびりやるのに向いている(前の映画でも同じことをしていたのを思い出した)。修正チェックも、また週明け天気が良い日に出来ますように。


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