見出し画像

本読みの履歴書 11

本読みの履歴書その11。
ひと月に1つくらいは更新したいものです。下書きにいっぱいあるのでがんばろう。
前回はこちら。

前回は高校の図書館で発掘した本たちでしたが、今回は自宅(実家)にあった本たちです。

実家は何だかいろいろな本がたくさんある家で、うっそうと茂る森のような本棚に入り込んではいろいろ漁っていました。現在は本と書類の腐海と化し、帰省するたびに表の方に浸食が進んでいます。あれ何とかしなくちゃ……


<中途で挫折した長編3つ>

挫折しているから正しくは「読んだ」とは言えないですね。
「読んだような気になった本」と言うべきか。いやそれも違うかな。

61.ロマン・ロラン 「ジャン・クリストフ」

文庫です。岩波でしょう。とにかくカバーのある文庫本はほとんどなく、すべて裸の状態でガサガサと本棚に突っ込んでありました。いま調べてみると岩波文庫から出ているのは全四巻なのですが、わたしが読んだこれは10巻くらいあってやたら長かったです。昔はそうだったのか、それとも違う文庫だったのか?

wikiを見たら、これ、ベートーベンがモデルなの? へえええ知らなかった。というか、こんな話だったのか。もう全然記憶にありません。やはり「読んだ」とは言えないですね。

「アントワネット」という章までは何となくパラパラと読んだ気がします。でもどうにもストーリーにのめり込めなくて。
だいたい、アントワネットって誰だったっけ?

62.マルセル・プルースト  「失われた時を求めて」

読んだというより、「なんか延々と思い出ばかりなんだけど」と1巻の途中で読むのをやめてしまったという意味で記念的作品(笑)。これこそ「読んでない」の典型でしょう。

だからこの本については何も語れません。「ジャン・クリストフ」は、まだ途中まで読んだので何となく(ジャン少年が成長していく話なんだなあ)というイメージは残っているんですけれど、このプルーストに至っては何の記憶も、これっぽっちも、ありません。
「読んでみた」「マドレーヌを食っている」「すぐ飽きた」それだけ。

似たような経験はかなり後になってロレンス・ダレルの「アレキサンドリア四重奏」という4冊本のシリーズを読もうとした時にも起きましたな。この、「ノれる」「ノれない」の差は何なんでしょうね。最初に手に取る時は結構期待して、ワクワクとページを開くのですが。


63.マルタン・デュ・ガール 「チボー家の人々」

途中までしか読んでいないうちに夏休みが終わりそうになり、あわてて感想文を書いた本。あたかも全部読んだような顔をして書きましたが、やはり国語の教師にはバレていたようです。ジャックが死んでないし。

これは高1の時でした。どうしてこんな何冊もある長編小説を夏休みの読書感想文用に選んだのか当時の自分を小一時間問い詰めたい。アホじゃない? 
でも読めると思ったんです。長くても。これも全集で、今も手に入る白水Uブックスではなく、その前の白水社のハードカバーだったように思います。そもそもUブックスはまだなかったしね。

まあわたしは読むのは速いのですが無意識のうちに斜め読みして筋だけ追ってしまうので、この本についても丁寧な感想はとても書けません。でも主人公の一人である医者になるアントワーヌ(兄さん)が、優等生ぽくてつまんないなあと思った記憶はあります。本当にそうなのかな。もう一度読み直したら全然違うかも。本当にちゃんと読んだ人がいたら教えてください!


<手当たり次第に本棚から出してきた本 その1>

ここからはちゃんと最後まで読んだ本です。 

64.ポール・ギャリコ 「7つの人形の恋物語」

この著者は猫を主人公にした「ジェニィ」が有名ですよね。あと「スノー・グース」とか。
読んだのは文庫より少し大きめの版で薄い本でした。

物語は、うーんと、ちょっとフェリーニの「道」(映画)みたいなテイストの、旅芸人というか人形劇の芝居一座の話。一座と言っても主人公である薄幸の少女と冷酷なDV男しかほぼいません。あとセネガル人のおじさんがいたっけ? かなり前に読んだので記憶がおぼろ。

このDV男が冷酷で乱暴で本当に側にいたら不幸なやつなんだけど、人形劇の座長なんですよ。人がいないからアテレコも全部自分。そうすると人形にアテている時は優しくなれるの。人形になりきっているからかな。そういう人いますよね。キャラにならないと別の面が見せられない、みたいな。
ひとことで言うと愛のおとぎ話、かな。


65.スタンダール「パルムの僧院」

「貴方をもう二度と見ないとマリア様に誓ったから」暗闇で会うのはいいのか!? と仰天した本(本末転倒な感想)。

説明すると、主人公と恋人はいろいろあって「あなたをもう二度と見ない」とマリア様に誓うんです。だから「もう会わない。さようなら」だと思うじゃないですか。だけどページを繰ったら最後の方で子どもまで出来てるんだぜ? それって何なの?

わたしはこの物語を読んで西洋人のしたたかさを見たような気がしました。もうまったく筋と関係ない本末転倒な感想なんですけど。
やっぱフランス人にはかなわない(違)。ああ、お話はイタリアの貴族の話だけどスタンダールはフランス人ですからね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?