見出し画像

30 day book challenge 第18日

第18日は、「あなたの好きな著者が故人である本」
好きな本の中で著者が既に故人であるものですね。

画像1

これはね、これは、いろいろあるんですけど、1冊だけと言ったらこちらです。

画像2

「倫敦巴里」 和田誠  話の特集・刊

和田誠さん、昨年亡くなられました。平野レミさんのお連れ合いです。本自体が絶版、2017年に新しいページが増えた復刻版「もう一度倫敦巴里」がナナロク社から出ています。そちらは未入手。

なんたって全編を貫くパロディの渦がたまりません!

冒頭から「殺しの手帖」ですよ。もちろん老舗雑誌と頭の1字が違うだけ。装丁が本物そのもので内容も本物そのもの。フォントも一緒。いかにも本誌で出ていそうな、でもテーマは全然違うの。わっはっは。コラム「殺しの中で考える」なんて、どの文がどのミステリから来た元ネタかに気付くだけで小一時間楽しめます。

つまりこの本は、小学生の頃から母が定期購読してた「暮しの手帖」を熟読し、中学生の頃からはミステリにどハマりしていた自分の秘孔を突いたんですね。こんな面白いこと考える人がいて本になってることに大感激。

それから雪国シリーズは最高オブ最高! これは川端康成の「雪国」冒頭をいろんな作家で文体模写したものです。さすがに元が1979年刊なので取り上げられた作家がそれなりに古いんですが、まあ、わたしはよく知ってる人たちばかりで笑い転げました。2017年の復刻版には村上春樹なんか入っているそうです。

残念なのは自分が映画に詳しくないので、映画関係のところの元ネタがあまりよくわからなかったこと。この手のパロディは元ネタがわかって始めて笑えるので、そういう意味では読み手を選ぶかもしれません。


で、もう一冊あげてもいいと言われたら(言われてないけど書いちゃう)、こちらも。2012年に亡くなった作家の作品。

SFの抒情詩人と言われています。その名にたがわず、光と深い闇のあわいであるたそがれ、現実のようで現実でない異世界、どこかにある死と不安が残酷なまでに美しく描かれている短編集。萩尾望都がブラッドベリの作品を何編か漫画化しています。こちらも名作。これも大好き。

持っていたのは創元SF文庫ですが、装丁は今のものとは異なります。白地に赤を基調としたおもちゃのようなお屋敷が描かれていました。何度読み直したかもう覚えていません。ホラーはダメな体質ですが、この本には惹かれます。ただ恐いだけじゃない、詩とか星のかけらみたいなものが、文章の中にちりばめられているのだと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?