見出し画像

ウェブストアスタッフが4月に読んだ本

こんにちは、ウェブストアスタッフ・ミケです。少し時間が空いてしまいましたが、その間にフォロワーさんが115人になりました!
皆さま、ありがとうございます!これからもおすすめの本やフェアのご紹介をしていきますので、楽しんでいただけますと幸いです。
それでは恒例の「ウェブストアスタッフが〇月に読んだ本」、今回は4月分となります。


●ミケ

今月は小説ではなくコミックのご紹介。
4/25に最終話が月刊アフタヌーンにて公開されたことも記憶に新しい『宝石の国』。もともとずっと気にはなっていた作品であったので、良い機会だと思い全巻・全話を一気読み。もっと早くにこの世界に触れておけばよかった、という気持ちと、最後まで一気にこの世界を駆け抜けることができた喜びとでいっぱいに。

圧倒的な世界観の中で紡がれる、静かな神話であった。個人的には主人公のフォスを含め、個々のキャラクターにフォーカスを当てた読み方ではなく、世界と時間そのものを辿るような読み方が合う作品であると思うし、逆にそれだけ世界観と作中の哲学に「読ませる」力のある作品であると感じた。

SFと宗教はある種切り離せない要素なのではないかと考えるが、この作品もまさにSFと宗教の物語であるだろう。この作品を薦めてくれた知人が、著者は「すべてが救われる仏教の極楽浄土においても、宝石は装飾でしかないのか」と思い、それがこの『宝石の国』という作品の着想のひとつになったらしい、と教えてくれたのだが、私はその話を聞いて「ヨハネの黙示録」における「新しいエルサレム」を思い出した。
どこの天国においても装飾に過ぎない扱いをされる宝石、そこに命を吹き込みひとつの神話を創り上げた著者の特異な感性と、それを表現する筆力は素晴らしい。

私にとっての漫画10選のうちのひとつとなってしまったこの作品、これからも読み返していきたいと思う。


■ノラ

こんにちは、ノラです!私からも1冊紹介させてください。

大河ドラマで取り上げられていることもあり、今年は紫式部と源氏物語関連本が豊作ですね。その中でも、私が気になったのがこの本です。

源氏物語の現代語訳と言えば、瀬戸内寂聴さんや角田光代さん、大和和紀さんの漫画『あさきゆめみし』などが有名ですが、まったく違う面からアプローチしたものがあります。それが、『源氏物語―A・ウェイリー版』。約100年前にイギリスで出版されたアーサー・ウェイリーによる英訳版を、毬矢まりえさん・森山恵さん姉妹が現代日本語に訳し戻したものです。今回紹介する本は、翻訳者姉妹がその魅力を語ったエッセイです。

源氏物語の原文、ウェイリーによる英訳、そしてその再翻訳とを並べて解説してくれているので、3つを重ね合わせて読むことで、タイトル通りまさに「らせん」状の構造で物語を辿ることができます。違う言語で語られることによって、自然と多角的な視点が生まれ、登場人物の行動や感情も新たな解釈で読むことができるように感じました。
ときどき差し挟まれる、真面目ながらどこかほほえましい姉妹の会話も魅力。登場人物の名前や平安時代特有の調度品などは、原文をそのまま使っても雰囲気が出ない。そんな翻訳の難しさ、そして面白さが伝わってきます。

源氏物語は、現代に生きる私たちにとっては異世界と言ってもいいほどの世界を描いた物語。それなのに、古語で書かれていることもあいまって、どこか「古臭い」という先入観をもって読んでしまっていたことに気づかされました。ウェイリーの目を通して源氏物語を読むという、翻訳者姉妹が感じた新鮮な驚きと喜びとをぜひ味わってみてください。きっと、知っているはずの物語が、異国のおとぎ話のように響いてきますよ。

『源氏物語―A・ウェイリー版』1巻の表紙。クリムトの絵が物語の世界観にぴったりです!

ということで、今月も2冊ご紹介させていただきました。

4月から新しい学校、新しい職場など、新生活が始まったという方も多いのではないでしょうか。「忙しくて、本なんて読む暇がなかった」という方もいらっしゃると思います。よく分かります。
ゴールデンウィークも早くも後半に突入しますが、皆さんがのんびり本を読む時間を少しでも持てるといいなあ、と願っております。

それでは、また来月をどうぞお楽しみに!