きの

高校生

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初投稿

 私は創作が好きです。絵を描くことも、文章を書く(というか打つ?)ことも総じて、つくることが好きです。高校生になって、気持ちが強くなってきました。国語はあんまり自信がないですが、想像や気づきを文章にするのは、国語力なるものが伸びる気がするのでやってみます。  ここでは、不定期で色々投稿すると思います。色々というのは、ほんわかしたものから、シリアスなものまで、気まぐれに書くということです。物語的なのが多いかな。  拙い文章ですが、気に入ってくれると嬉しいです。 きの

    • 融解

       すっかり液体になった豊田君を二重にしたビニール袋に詰めて、クーラーボックスに入れた。豊田君は箱の形に沿って、赤黒い色をした姿を変えた。ひとまずは、これでいい。 「あ。クソ。川きくの忘れた。」 橋場さんはなんて言ってたっけ。適当な橋から流せとか言っていた気もするが、いや、変な所にこだわるひとだから確信も持てない。ため息をついてから熱くなったガラケーを取り出し、電話をかけた。薬剤の匂いが充満した部屋の空気を吸うと、脳をキリで刺されたみたいな鋭い痛みがした。 「こんにちは。お疲れ

      • 佐野

         あと3秒で、成功していた。0:00。ぱちりと変わったデジタル時計の日付を見て、うなだれながら机に頭をぶっつける。思ったより痛くて、なんと自分が馬鹿であることが分かった。課題未提出、と言う字が、ゆらりと目の裏に浮かんでは、その形を確固たるものにしていった。机がひんやり冷たい。足の指もまた、握ると魚みたいに冷たかった。夜、暖房をつけると、室外機がブンブンうるさく鳴り続け、隣人に怒られてしまうのである。佐野は終わったのだろうか。色々「確定」してしまった私にとっては、頭の悪い佐野だ

        • おしゃべりとそのおわり

          出血表現があります。  陽菜ちゃんの肩にもたれながら言った。 「うちらが夫婦だったらさ、そんなことしないよね。」 陽奈ちゃんは一瞬戸惑ったような顔をして、あははと大きく笑った。 「絶対しないね。」 冷たくなったカイロを意味もなくパタパタと振った。こっちは結構真面目に言ったのに、と少し俯く。陽奈ちゃんのお母さんとお父さんは仲が悪く、喧嘩ばかりしているらしい。離婚しちゃうかもと陽菜ちゃんは心配しているけど、聞くかぎり、そんなでもないと思う。カレーの中辛をお父さんが買ってきて、お

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        初投稿

          板野のねこ

          一部グロテスクな表現があります。  手さげ袋の端で、ハエが休んでいた。板野は、戦闘態勢に入った。自分は太平洋戦争中の戦線で、泥と汗に濡れた三八式歩兵銃を握りしめ、ぬるぬると遊底を動かして、来る敵へ照準を合わせた。それを思い出して、動く気配のないハエに時間をかけてピントを合わせる。左手で袋を持っていたから、右手で仕留めなければならなかった。しかし、アルコールで震えるようになってしまった右手を袋へゆっくり近づけると、小刻みに痙攣した小指が袋を僅かに弾き、ハエはどこかに飛んでいっ

          板野のねこ

          主従と愛

           その男は、美麗でありました。ぱっちり大きい二重の目、高い鼻、ふっくらとした赤い唇。そして、黒色の髪を、肩につかない長さまで伸ばしていて、女性的で耽美な容姿でありました。しかし、十三歳の秋、声変わりが起きた時、声は獣の唸り声のような、低くしゃがれたものに変わってしまいました。私は、あの方に仕え初めてから幾年か経ちますが、生活を共にする上でだんだんと、その美しさと醜さの兼ね合いが愛らしく思えてきて、気づけば私の心は鷲掴みにされていました。ああ、私は恋をしているのかもしれません。

          主従と愛

          こいばなし

           メロメロだったんよ。いや、うちがね?ほんとさ、最初見た時は何このブスとか思ってたけど、よく見ると肌キレーだし、なんか努力してんだろーなーって。で、うちが変えてやろうって思ったわけ(笑)。うん、うちの兄ちゃんの友達の弟。斉藤ってゆうんだけど。陰キャって言葉さ、うち嫌いなのね?見下してるみたいで悪いから。でも正直、あの頃の斉藤は陰キャ・オブ・陰キャってカンジだった(笑)。ガチダサ。私服も謎にポップ?でさ、本人曰く、「彩りが必要かなッて、おもて…ボソボソ」らしい(笑)。そう、

          こいばなし

          栽培

           鼻をかんだティッシュか、血を拭ったティッシュか分からないが、散乱していた。ただでさえ狭い部屋は男一人が入るともう、独房のようだった。ふと昔の写真を見る。賃貸なのに壁に穴を開けてしまった、と一瞬の後悔をまた経て、写真の中の自分を捉えた。春、空、風、入学式。連鎖するように、今の生活とまるで反対のことを思い出してしまうのは、いい記憶が眠っているということだ。彼なりの適当な解釈を終えて、かび臭い照明から垂れる紐を引いた。  彼は完全な暗闇が嫌いだった。カーテンから差す街灯と月の明か