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体の化学工場:肝臓

会長:筋肉とサプリメントが好きな薬剤師会長です。
今回は肝臓についての話をしよう。肝臓は体重の2%をしめる内蔵では最も重い臓器だ。

助手:体にとって有害な毒素を解毒する臓器ですよね。それと栄養の貯蔵庫にもなっていますよね。

会長:その通り、肝臓には多くの働きがあり約500種類、酵素は2000種類もあると言われている。

助手:そんなに!

会長:よって肝臓の機能が落ちると様々な不具合が体に出る。
主に全身の倦怠感、食欲不振、吐気、黄疸、むくみ、腹水などだ。
皮膚のかゆみなども現れることがある。肌荒れなどでアレルギー薬や塗り薬を使っている患者さんの中には肝障害が原因の方もいる。

助手:肝臓とは関係ないような症状もあるんですね。

会長:それに肝機能が落ちると栄養素の代謝、特に脂質の代謝がうまくいかずに太る原因になる。
肝臓を大切にしないと生活の質が大きく下がることになる。

助手:肝臓の機能が落ちる原因て何ですか?

会長:感染症が原因になることもあるがここでは主に生活習慣に関連する原因について話そう。
まずは言わずもがなアルコールだ。
助手:これはそうですね。
会長:アルコールは体にとっては基本毒物だと思ってもらってもいい。
なので体に入れば優先的に肝臓で解毒される。
助手:会長は毒だとわかっていてよくあれだけ飲めますね。
会長:毎日晩酌の機会がある人は週に2日は休刊日を設けてほしい。
お酒に強い人にはありがちだが自分はお酒を飲んでも次の日には残らないからと思っていても体にはアルコールが残っている場合が多い。
会長:個人差はあるが人が代謝できるアルコール量は1時間当たり4gが基準だとされている。500mlビールだとおおよそ20gのアルコールが含まれている。つまり晩酌をしてビール500mlを飲むと寝ている間も肝臓を休めることができない。
助手:絶対それ以上飲んでますよね。
会長:実験によれば1時間当たり13gのアルコールを代謝できる人もいたそうだ。私はそれ以上だろうから心配ない。
助手:(こうゆう奴が肝臓壊すんだろうな。)

会長:続いては食べすぎ。ジャンクフードやラーメン、お菓子など砂糖、脂質が多い食品は肝臓に負担がかかる。
助手:どれも好きなものです。
会長:たまに食べる分にはいいんだけどね。過剰な脂質、糖質は肝臓で代謝されて中性脂肪になる。中性脂肪はいわば過剰にとりすぎたカロリーが姿を変えたものだね。この中性脂肪は肝臓にも蓄えられて脂肪肝につながる。
助手:じゃあしっかり運動すればいっぱい食べても大丈夫ということですか?
会長:消費カロリーと摂取カロリーを釣り合わせるのはいいことだけどジャンクフードばっかりはだめだよ。ビタミンやミネラルが取れないから、別の不具合もでてくるからね。
会長:あと血糖値、中性脂肪が高いと血液がどろどろするよね。どろどろの血液は血管に負荷をかけるんだ。血管は炎症を起こして柔軟性を失うし、血流が悪くなり血栓ができたりもする。そうなれば血管が集まっている肝臓の機能は低下する。
助手:すべての臓器が悪くなりそうですね。

会長:最後は高血圧だね。高い圧力が血管にかかっているわけだからさっきと同じ理屈で肝機能は下がる。高血圧の原因は塩分の取りすぎ、ストレスが一般的な認識だけど脂質異常症高血糖も高血圧を引き起こす。
助手:血管を傷害し炎症が起こって血管が固くなるからですよね。
会長:そう、血圧って日常生活でよく変動するんだよ。体を活動させるときや何らかのストレスを受けたときは体は血圧を上げようとするけど血管が固いと圧力がかかっても伸び縮みできないから必要以上に血圧が上がってしまう。最悪脳などの血管が破けてしまう。
助手:動脈硬化と脳出血ですね。
会長:血圧の話は大切だけどまたどこかで詳しく話そうか。
肝臓のような血管の多い臓器は血圧の影響を大きく受ける。なので血圧を正常に戻すことが肝臓のためにもなる。

会長:よく「肝臓の数値が悪くてサプリを飲んだ方がいいかな?」「何を食べれば数値が良くなるかな」とか聞かれるけどほとんどの人は悪い要因をなくせば肝機能は回復すると思うんだよね。まず大切なのは「足し算より引き算」

助手:そうはいっても肝臓にいい食べ物とかそういうのも教えてほしいです。

会長:了解。
これから紹介するけど基本は肝臓に悪い習慣を取り除くことが重要だってことを覚えておいてね。

会長:まず基本、良質なタンパク質だ!
助手:なんかありきたりですね。タンパク質好きですね。また筋肉で解決ですか。
会長:いやいや!大切なんだって!
肝臓の修復にはタンパク質は必要なんだ。別にタンパク質って筋肉だけでなく臓器も作っているものだからね。
良質なタンパク質とは脂肪分の少ない肉、魚、大豆製品、乳製品などだ。ちなみに避けて欲しいものはベーコンやウインナーなどの加工肉だね。塩分、油、添加物が多いからできれば避けて欲しい。
助手:結局ビタミン、ミネラルも含めた栄養バランスを整えた食事が大切ってことですね。
会長:(まとめ持ってかれた。)

会長:続いてはオメガ3脂肪酸だね。
助手:フィッシュオイルなどで取れる油ですね。
会長:その通り、青魚などに多く含まれるいわゆる良質な油だね。ナッツ類にも多く含まれているよ。オメガ3は中性脂肪、LDLコレステロール合成抑制、抗炎症作用と様々ないい効果がある。
注意点はオメガ3は酸化しやすいというデメリットがある。つまり熱に弱く空気に触れると劣化しやすい。
助手:魚はいたみやすいですもんね。
会長:古い油を取ることは体に悪いからなるべく新鮮なうちに食べる必要があるね。だから調理以後はすぐに食べてほしい。
助手:新鮮なお刺身とかがいいですか?
会長:それもいいけど俺のおすすめは鯖缶だ!
助手:ツナ缶の方が好きです。それに鯖火が通してあるじゃないですか。熱に弱いんではないですか?
会長:ツナ缶に使われている魚よりも鯖の方がオメガ3の含有量が多いんだよ。あとオメガ6脂肪酸の脂が添加されていることが多い。オメガ6脂肪酸は人体に必須の油でもあるけど現代人の食事ではとりすぎの傾向にあるからほとんどの人は少し控えめにしたほうがいいかな。
それに鯖缶は缶詰にして真空状態で加熱しているから酸化は少ない。酸化って酸素とくっ付くことだから空気が無ければ起こりづらい。
助手:なるほど缶詰なら長期で保存できていいね。
会長:保存がきくのはいいよね。調理はなるべく加熱時間を短くするのがポイントだ。

会長:次はブラックコーヒーだね。
助手:いろんな健康効果がありますね。
会長:そうだね。具体的には、コーヒーに含まれるポリフェノールが、肝臓に蓄積された脂肪を分解する働きがあって、脂肪肝の改善に効果があるとされているんだ。また、カフェインは肝臓の細胞を刺激して、肝臓の働きを活性化させる効果もある。
会長:だけど何事も取りすぎはよくないからね。飲みすぎると逆に肝臓に負担をかけることになるから一日2~4杯ぐらいがいいかな。それと睡眠の質を下げる原因になるから夕方以降は摂取を控えるのがいいよ。
助手:砂糖やミルクを入れちゃだめですか?
会長:入れすぎはだめだね。そのふたつは糖質と脂質だから取りすぎは体に毒だ。あと缶コーヒーだと添加物も含まれているからなるべく自分で淹れたブラックコーヒーがいいかな。

会長:何度も言うけど健康は「足し算より引き算」
まずは体に悪い習慣をなくすことから始めよう。
助手:健康のプラスαはそれからですね。


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