「浮き沈みの中で本田朋広に生まれた変化。瀬戸熊が語る本田の変貌の秘密、そして本田自身が思う一年目の失敗の真相とは?」瀬戸熊直樹・本田朋広対談スペシャル企画(1)
近代麻雀note・Mリーガー対談スペシャル企画。今回は、TEAM雷電でチームメートとして戦う瀬戸熊直樹と本田朋広の同チーム対談。雷電に本田が加わって以降、チームは記録的な大敗と初のファイナルを経験している。大きな浮き沈みを経て迎えた3シーズン目を、彼らはどのように戦おうとしているのか。(全3回の1回目/#2、#3へ)
[文・東川亮]
■実力不足で負けた1年目、羞恥心を捨てた2年目
――本田さんが加入した2021-22シーズンで、チームは記録的な大敗を喫しました。当時を振り返っていかがですか。
瀬戸熊 全員が、やることなすことダメでしたね。麻雀をやる方ならお分かりだと思いますけど、条件がきつくなってくると、やることがどんどん決まってくるんですよね。その中で雷電は、マイナス400、500にいったときに「トップしか意味ないよね」というのが全員の共通項になってしまって、つなぐ意識を欠いてしまったのがよくなかったと思います。2着や3着で耐えることを良しとしなかった結果、結局ラスってしまうという。本当に悪循環でした。
本田 僕だけに関して言えば、シンプルに経験不足、実力不足でした。どうすればいいのか迷いながら戦っていた感じが1年目のMリーグではあって、そういう僕みたいな人間が1人入っていたせいで、瀬戸熊さんを含め、皆さんの足を引っ張っていたんじゃないかなって、すごく反省しています。
――1年目は自分らしく打てていなかった、みたいなところもあったのでしょうか。
本田 それは誤解ですね。戦い方がどうかというと、確かに自分のスタイルとしては変わったとは思うんですけど、変われたのはやっぱり1年目の経験があったからです。その経験がなかったから、1年目の僕は実力不足で負けていたのだと思います。どんな形で入ったにしろ。
――Mリーグを通じて成長したから昨シーズンはすごく勝てた、という感触が。
本田 Mリーガーになって東京に出てきて、チームメートの麻雀を見るのもそうですし、いろいろな人と麻雀や麻雀の話をしていく中で、自分が成長できていると感じています。
自分にとって一番良かったと思うのは、やっぱり東京に来たこと。僕はずっと地方にいましたけど、東京は麻雀を学ぶにはすごくいい環境なんですよね。身近には麻雀が強い人もたくさんいるので、その中にいることで、すごく勉強になったなって思っています。
――瀬戸熊さんは、そんな本田さんの成長を感じたところはありますか。
瀬戸熊 本田はもともと、勝負感とかセンスは抜群にあるわけですよ。あとは水に慣れるだけだったんですけど、昨シーズンはやっぱりちょっと遠慮があったように思いますね。本田の強さを見てきた人は分かると思うんですけど、本田の麻雀ってぶっちゃけ、むちゃくちゃじゃないですか(笑)。こんなの仕掛けた後にその形ある?みたいな。たぶん、本田の中で羞恥心を捨てたんですよ。初年度はみんなに見られていて反響も大きいから考えて打つところも多かったと思うけど、今はもう体が反応していますよね。
でも、そうすることがたぶん、本田としては戦いやすいんですよ。そうやって自分を周りに注目させる、自分が毎回戦いの場に積極的に参加することによって勝ってきたのがもともとの本田麻雀なので、昨シーズンは恥も外分も全部捨てて、本当に崖っぷちに立って思い切りやれたのが良かったと思うんです。そして今シーズンは前年の成功体験があるからそのままからやれているという。見ているこっちは毎回「いや、合ってんのかな?」って思いますけど、それも最近は慣れたんで、それでいいんじゃないですかね。
本田 それは合ってるんですよ。めちゃくちゃじゃないですよ。
瀬戸熊 僕の普通の見方としてはめちゃくちゃだよ。この間も西ポンしてバラバラ、みたいなのがあったじゃない。安い遠いの一番すごいバージョン。勝又と話してた時に「ここ5年で一番すごいポン見ました」って言ってた。決勝の1000点条件でも仕掛けられるかどうか分からない、小林剛でもしないかな、みたいな。
本田 それで勝てるんですよ。
瀬戸熊 そうなる未来予想とかできているからすごいなって話ですよ。たとえば部外者の人から平面図であの牌譜を出されたら、こっちはきついわけじゃないですか。だけどそれを全体像で、半荘単位よりももっと先の年間単位で見ると、それが本田の麻雀になっているんだなと思いますよ。
あの西ポン、誰か取り上げてくれないかな。あれでオーラスに手を入れてくる感じ。因果関係は説明できないけど、それがあるからオーラスがあったって。
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