【質問コーナー】「末期パーキンソン病の頸部伸筋の緊張って軽減できるの?」
こんにちは!近畿OuTPuT会の増永です。
【質問コーナー】第4回目のお題は
「末期PDの方の頸部筋緊張は軽減できるの?」
僕自身も患者様・利用者様への対応でよく難渋するケースです。今回は、自分の回復期・療養病床・訪問リハの経験談をもとに書ければと思います。
1.パーキンソン病って?
そもそもパーキンソン病って、ざっくり言うと『カラダが硬くなってしまう病気』ですよね。さらに進行すると『意欲低下や意思表示も難しくなる』。そんな病気だと思います。
なぜか?
「病気がみえる脳・神経」を見るとがわかりやすいです。
人が運動・動作をするためには大脳皮質からの運動指令に伴って、大脳基底核を中心にブレーキの調整が行われています。
でも、ブレーキを緩める経路に障害が出てしまい、大脳皮質から『〇〇がしたいから、歩いて!』と指令があっても、
①歩き出せない:無動、運動開始困難
②筋肉がこわばり過ぎる:姿勢反射障害
が生じてしまう訳ですね。
ポイントは、"大脳皮質は生きている"だと思います。
要するに、『動きたい・動こうという意思はある』のにやだーー!!😫って言われちゃってる状態です。
2.評価とアプローチ
評価で大切になるのは、
①意思表示ができるか(大脳皮質の状態把握)
②四肢・頸部・体幹の可動性と重たさ(全身の評価)
この2つは最低限みておく必要があります。
病期が末期になると大脳基底核の抑制が強まるために、回り回って大脳皮質にも抑制が生じてきます(皮質-基底核ループの影響)。そうなると、意欲低下やうつといった精神的な症状まで出てきてしまいます。意思表示は、目の動きでYES・NOが出来ればそれでも構いません。
僕がまずアプローチすること場合、
頸椎は、脊椎の末梢に位置するために四肢・体幹の可動性は大きく影響します。以下の2点を先に行います。
■四肢・体幹をできるだけ伸展方向へ動かす
この時、皮質からの指令を運動として発揮するために他動運動から可能な範囲で自動運動へ切り替えていくことをオススメします!!
■筋緊張緩和のためにポジショニング、シーティングをする
ベッド上臥床の状態では、大気圧(約7kgほど)が頸部にのしかかっています。
①まず頭部・頸部の重たさ分を両手で支える
②頸椎の屈曲・伸展・回旋方向にゆっくりと最大可動域動かす
③表情筋のリリース
④再度ポジショニング・シーティング
頸部後面には、多くの頸部後屈筋群があるためかぎ爪状の手で頸部を下から支えると評価・アプローチしやすいと思います。
3.まとめ
ヒトが運動を遂行・学習していく上で脳・神経にはループがいくつかあります。その中に①大脳皮質-基底核ループ:姿勢の保持・動作の遂行②大脳皮質-小脳ループ:運動学習があります。
大脳基底核に問題が生じたから、
①大脳皮質での随意運動→自発的に動いてもらう
②小脳→聴覚・視覚による運動学習を促す
を基本としたアプローチになります。
しかし、拘縮が強くなると運動する以前に『動けない』状況に陥っています。そこからの解放をしていき、本人が少しでもご自身の意思を仕草や表情だけででも示せる状態にしていくことが末期の方への考え方だと思います。
頸部が硬いから頸部からアプローチではなく、下肢や上肢・体幹から動かしていくことで全身が動きやすいカラダづくりをしていく視点も必要かと思います。
少しでも参考になれば嬉しいです。
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