KOMORO

綺麗な男の子が好き。惑星系shitagokoro

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最近の記事

二つの秘密

この部屋は暗く冷たい。 歩くとペタペタと音がする。 この部屋の主は、ベッドの中で無防備に寝ている。 ベッドに潜ると後ろからするりと腕が巻きついてきた。 「勝手に入んなって何回言えばわかんの 」 「あれ、寝てなかったの?」 「お前のせいだっての」 キツイ言葉とは逆に甘えるように首もとにすり寄ってくる 「昨日見た」 「何を」 「ベクちゃんが大学一美人なユラさんと一緒にいるとこ」 「あー、俺ヌナに告られた。ヌナめっちゃスタ

    • エスパーくんとスケスケちゃん

      日曜日の朝 目覚ましを止めるのを忘れた私は、休日だというのにいつもの癖で早起きしてしまい、こんな早くから目覚めてしまったことに大分後悔する。社会人ってのは本当に酷なもんだよ、と勝算の見えぬ現代社会にグチグチ言ってみる。いいじゃないか、別に明日からはまた蟻のようにせっせと働くんだもの、このくらい言ったって!! 横で眠る彼は、まだ夢の中のようでスヤスヤ気持ちよさそうに抱き枕を足に挟んで寝ている。ふさふさの睫毛に、まあるいお鼻。そしてぷっくりした唇にほっぺ。今にもあむっ

      • 辻褄合わせ

        突然の土砂降りの雨 傘を持っていなかった私は、突然降りだした雨に空を見上げる。 天気予報で今日は晴れだと言っていたのに。朝に見たニュースのお天気お姉さんに苛立ちながら彼の部屋へと急ぐ カンカンカンカン 古びた階段の音が今日は何故か耳障りに感じる ガチャン 静かに開けるつもりが、思ったよりも音を立ててしまって顔をしかめる 肌にくっ付いた服が気持ち悪い ブーツを脱ぐ為にしゃがむと 床にポタポタと雫が垂れる 靴下を脱いで、玄関横の脱衣所まで

        • 相対性理論

          人生最悪のその夜は、不運にも私の26回目の誕生日だった。 私の不運は、いつもの行きつけのバーで、お気に入りのボトルを一本開けた頃に訪れた。 「イルミ、俺たち別れよ」 私は飲んでいたワインを思わず吹き出しそうになる。 今日は私の誕生日でもあるが、同時に交際三年目を迎えるおめでたい日でもあって、彼とは、同棲してもう二年立つし、てっきりプロポーズの一つはあると思い、定時と共に会社帰りに急いで美容院に走り、洋服も新調して気合い十分でここへ来た。 なのにまさかプ

        二つの秘密