二つの秘密
この部屋は暗く冷たい。
歩くとペタペタと音がする。
この部屋の主は、ベッドの中で無防備に寝ている。
ベッドに潜ると後ろからするりと腕が巻きついてきた。
「勝手に入んなって何回言えばわかんの 」
「あれ、寝てなかったの?」
「お前のせいだっての」
キツイ言葉とは逆に甘えるように首もとにすり寄ってくる
「昨日見た」
「何を」
「ベクちゃんが大学一美人なユラさんと一緒にいるとこ」
「あー、俺ヌナに告られた。ヌナめっちゃスタイル良いし綺麗だし普通にOKした」
「ふーん、部屋にいれた?」
「入れるわけないじゃん、無理無理。てかお前もだから。もう高校生だろ?一人でいい加減寝ろよ。」
「ベクちゃんのベッドじゃないと寝れないからやだよ」
「やだよじゃねーよ、バカ」
いつもそうやって怒るクセに一度も追い出したりしないベクちゃんは、結局は、優しい
私は、背中を向けてることを良い事に自然と緩む口元
ベクちゃんとはいわゆる幼馴染で、こうやって寝れないと嘘をついては彼の布団へと潜り込む。
そしてベクちゃんは、数え切れない付き合ったであろう歴代の彼女を誰一人部屋に入れていない
私を除いて、一人も。
もぞもぞと振り返ると、暗闇でも分かる色素の薄い目と目が合った。
「シャンプー変えた?」
「あー、お姉ちゃんの勝手に使っちゃった」
「こっちのがいい」
私の髪の毛をクルクルと長い指に巻きつけて遊ぶベク
えー、と文句を言いながらも私は、お母さんに来月のお小遣いを前借りする計画を立てるのであった
そしてベクちゃんがまたウトウトしだしたのがいつもの合図となり私は彼の胸にピタリとくっつく
誰にも譲らない私だけのポジション
ベクちゃんは、目を瞑ったまま私をゆるく抱きしめるとそのまま眠りに落ちる
スースーと寝息を立てるベクちゃんの頬にいつもキスをして私も眠りにつくのは、私だけの秘密
高校生×大学生ベク
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