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エスパーくんとスケスケちゃん


日曜日の朝

目覚ましを止めるのを忘れた私は、休日だというのにいつもの癖で早起きしてしまい、こんな早くから目覚めてしまったことに大分後悔する。社会人ってのは本当に酷なもんだよ、と勝算の見えぬ現代社会にグチグチ言ってみる。いいじゃないか、別に明日からはまた蟻のようにせっせと働くんだもの、このくらい言ったって!!

横で眠る彼は、まだ夢の中のようでスヤスヤ気持ちよさそうに抱き枕を足に挟んで寝ている。ふさふさの睫毛に、まあるいお鼻。そしてぷっくりした唇にほっぺ。今にもあむっと食べたくなる。

「寝てると本当子供みたい」

憂鬱な朝も彼の可愛い寝顔のおかげで思わずクスりと笑みがこぼれる。

布団を掛け直して、彼を起こさないように、ベッドからそっと抜け出すとリビングのソファにダイブする。

しばらくチャンネルを回すが、こんな早朝に面白いテレビがやっているわけもなく、仕方なく返却期限が今日のDVDを回らない頭で半分意識が飛びながら、ソファの肘起きを枕にしてしばらく寝そべっていると、突然押し出されるように誰かが肘起きに座ってきた。

「いったー!ちょっとちょっと!」
ぶちぶちと私の頭皮から髪の毛が数本千切れていく

「おはよ、珍しく早起きだけどそこ邪魔」

痛みに涙腺が緩みながら、声の主を睨みあげると

それ以上に睨み切った彼がいた。

「今日は?」

「今日は?」

はあ〜、とべっこう柄のメガネをかけた彼が髪をかきあげる

彼が髪をかきあげる瞬間が大好きな私は、思わずうっとり見惚れる

私の視線に気づいた彼は、「見惚れる前に自分の犯した罪を思い出せ」
と私のおでこをペチンとはたく。

「今日なんか約束してた?え?嘘」

「信じられないこの女」

「わかった!チャニョルの誕生日!」

「帰る」

「あっ!うそっ!やだっ!」

本当にバックを持って帰ろうとするギョンスの腕を慌てて掴む

「何ですか」

うわ。こういう時だけ敬語使うなんてズルいじゃないの。

「いや、あのですね、いや、なんていうか、ひとまず座りません?」

そういってチラッと彼の様子を伺うが、一瞬こちらをジロッと見るだけで、それは、もうとてもじゃないけど彼女を見つめる目つきとは思えなかった。

私、相当やらかしました?
無い頭であーだこーだ考えてると
ドサッと横に移動してきたギョンス

そして深くため息を付いたかと思うと、私が抱えていたクッションを奪いぎゅっと抱きしめたかと思うと、ボフッと結構な勢いで投げつけてきた。

「わっ」

「もういいです。あなたに理解力って言葉が存在してないのは分かってますし」

「は、はい。すみません。」

「鈍感で理解力無くて無駄にお人好しで、ほんと空回りバカっていうか人生損しか無さそうだし。」

「は、はい。あれ、これ悪口?」

「まぁ、そんなあなたを好きになったんですけどね」

「は、はい。え??」

「はあ〜もういいです、諦めてますから。今日は僕たちの二年記念日ですよ」

「.......え、うそ今日何日」

私を明らかに呆れた顔で見てくる彼だったけど、私が相当真っ青な顔してたのか、ブッと吹き出した。

「なんて顔してるんですか(笑)」

「ギョンス..あの...」

「もういいですよ。さっきはマジでぶっ飛ばそうかと思いましたけど、怒ってませんよ。ただ、、」

ただ?ただなに?!
中々言わない彼にハラハラする

「はい」
自分の唇をトントンと指で叩く

「や、あの、え」

「拒否権は」

「ありません」

_分かってるならよろしい_と言わんばかりに、体制を私に向けると、早くと目をつむってその綺麗な顔を私に近づけてくる。

あー、ギョンスの唇美味しそう。
柔らかそう。ぷくぷく。

「まだ?」

ついギョンスの唇に夢中になって、現実をすっかり忘れていた私は、慌てて、むちゅっとムードも可愛さのかけらも無いキスをお見舞いしてしまった。

「ねえ」

またやらかしたんだと悟った私は、どうしようかと頭を抱えて考えあぐねているとギョンスが私の頬に手を添える

「僕の唇そんなに美味しそう?」

「...心が読め」

「ないから、あなた声に思いっきり出してたから」

「あれ」

「いいよ」

「なにが?」

「僕の唇食べていいよ。あ、嘘。やっぱり俺がイルミ食べる。だから無駄な一人劇やめて僕に黙って食べられてて」

「うわっちょっギョンス」

こうして私がやらかした二年記念日は、ギョンスくんの肉食すぎる爆弾発言により幕を閉じていった、いや開けていったのであった。

「まだ朝だよ?いける?大丈夫?」

「本当に黙ってて」

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