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昭和のgifted-2 登校拒否をした話

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私が生まれたのは翔が終わる少し前。私の少し後から「ゆとり教育」が始まる、生まれたとたんにバブルが弾けるそんな時代だった。

その頃の学校教育というのは「みんな同じが良い」「できない子の気持ちを理解してあげるべき」という風潮だった。

私もずいぶん親から「普通が一番」「どうして普通の人が当たり前にできることをできないのか」と言われ育ったので自分は誰もができることをできないダメな人間だと自己肯定感も低く、卑屈な学生生活を送ることになる。

卑屈な学生生活に拍車をかけたのは小学校の4年生の時に登校拒否をしたことだ。ある日突然それまで普通に話していた友達たちから無視が始まった。何かでグループ分けしないといけないときもどこにも入れてもらえず、先生が無理矢理文句を言わない大人しい子たちの班にねじ込んだりとハブられ生活が始まったので癇癪を起こして学校に行きたくないといって数日休んだ。

私が休んでる間にクラスの宿題で「木春さんが学校にこないことについて」なんて日記の課題を出されていたりケアもクソもない時代、当時一緒に住んでいた祖母に「出る杭は打たれるけど、出過ぎたら打たれへん。自分が悪いことしてる訳じゃないのなら学校へ行けばいい」と言われてぎゃん泣きの状態でも学校へ行くようになり、そこからはやられたらやり返すようになった。

からかってくる男子には殴り返していたし、罵倒してくる女子には「ブスの癖に」と一番傷つきそうな言葉を選んでいた。元々気が強くてハキハキした性格で、小学校2年のときの担任の先生に褒められていたらしい語学力と文章力の高さと、多分当時から頭の回転が早かったのが仇になった。これまでずっといじめられっ子だったと思っていたが、いじめっ子たちの方が戦々恐々としていたのかもしれない。

母にも「あんたは何をやってもおもいっきりが過ぎるからハラハラする」と普通であれと育てる親だったため、祖母のやりすぎるくらいやっても良いという言葉はその後も、今でも事あるごとに思い出す。

この頃すでに私はやりたいことを思いっきりやるのが良くないことだと思うようになっていたからだ。

国語の音読で感情を込めて台詞を読んだら気持ち悪いと言われ、「なりたいもの」というテーマの作文では「色えんぴつになりたい」と書き、授業参観で張り出されたときひとりだけ「なりたいもの」に無機物を選んでいたのが今だに忘れられないと親に言われる。(他の子たちは職業や鳥なんかの動物がテーマだったそうだ)

学校をあげての美術展では年に1回、各クラスから2名ほどずつしか選ばれない図工の作品が2回展示されることとなり、1度出たことがあるなら辞退すればいいのにと陰口を叩かれた。

自分がやりたいことや自己表現をすればするほど周りに理解はされないし、一緒に楽しむこともできない。

勉強ができるタイプではなかったが比較的なんでもすぐにこなせるようになるのが早く、凝り性も加わって興味のあることにはすぐ没頭できたので、周りの子ができないことがあるのはやる気がないか努力が足りてないのだと思っていた。

努力してもできない子に足を引っ張られてやらせてもらえない理不尽を感じながら学生生活を過ごした私は、個性や多様性を認めていこうという時代になって「すごいね」「多才だね!」と褒められても素直に受け入れられないでいる。

子供の頃から当たり前にこなしていたことを今も同じようにこなしているだけで、それで褒められた記憶はなく、ただ和を乱す変わりものとして扱われることが多かったから、私にとっては普通のことで特段すごいことをしている自覚がない。

親も私がにこんなことやったとかあんなことやったと話すことにも、簡単そうに話してるからたいした事をやっている訳ではないと思っていたらしい。

最近になってギフテッドというキーワードが知られるようになり、ギフテッド教育や自称ギフテッドのコンテンツを見かけるようになり、こんなタイトルでnoteを書いておいてなんだが、正直自分がギフテッドだと自称するのはどうもはばかられる。

それでも筆を取ることにしたのは「できない子の気持ち」しか考えてこなかった大人たちが「できる子の気持ち」を想像できる訳ないし、そもそもできる子の気持ちを考えようという発想がないと思ったからだ。

ギフテッドだからすごい訳でもカッコいい訳でもないと私は思う。なんでも簡単にこなせるから人を馬鹿にしてると思われたり、理由なくやっかまれたり、努力を評価してもらえなかった私は卑屈になった。

努力したことを褒められて自己実現を受け入れてもらいながら育った人の方が心の歪みがなく人らしいと羨ましく思うから、もし人に理解してもらいえないとかで悩んでいる人がいたら話を聞いてあげられる側になったり、なにかヒントになるようなことが書けたら良いかなと思って筆を取っている。

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