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あなたは横山秀房を知っていますか?⑥

前回のあらすじ。

秀房、夜行バス(パンダ号)で上京。

秀房、風俗で抜きまくる。

秀房、歌舞伎町で2ラウンド戦う(総合格闘技)。

結果。

「ジャッジ梅田、青ヤツイ!」

「ジャッジ小池、ドロー!」

「ジャッジ千田、ドロー!」

「1-0の為、これより延長戦に入ります!」

膝を着く秀房。

新宿歌舞伎町の片隅で延長戦を叫ぶアナウンサー。

普段まともな練習をしていない秀房は完全にガス欠。

これで終わったと思ってただけに秀房の絶望感は想像に難くない。

インターバルもそこそこに秀房の地獄の延長戦が始まる。

両者は、コーナーで座り、延長戦の開始を待ち構えていた。

正確に言えば、待っていたのは一人だけだ。

もう片方は「ふざけんな!休みたい!」という心境であろう。

そこへアナウンサーが試合再開の旨を告げる。

「セコンドアウト~~~!セコンドアウトォ~~!!!」

立ち上がるヤツイ選手。

対する赤コーナー秀房。

立ち・・・上がらない。

立ち上がらないのか、立ち上がれないのか。

どっちなんだコラ!

良く分からないが、顔は限界を迎えているように見受けられる。

なんかちょっとしゃくれてるし。

セコンドアウトを告げられてるのに立ち上がるのを拒否するシーンは、なかなか見られるものではない。

「セコンドアウッ~!」(3回目)

どよめく観衆。

やがて皆の心の中に「秀房がんばれ!」という気持ちが芽生えだす。

そして、それは、声となって熱気を生む。

つとむさん「ひでちゃん!ガンバレ~!!!」

私「立てよ!おまえ立て!!!立てって!www」

つとむさん「立てぇ~~!!!

葉隠さん「ひでちゃーん!」

皆さん「ひーでーちゃん!ひーでーちゃん!ひーでーちゃん!」

マジもんのひでちゃんコール。

東京でのデビュー戦なのにコールされるとか信じられないが、手拍子も加わって、本気のひでちゃんコールが新宿フェイスに鳴り響いた!

皆さん「ひーでーちゃん!ひーでーちゃん!ひーでーちゃん!」

これは新宿の片隅でひっそりと起こった小さな小さな奇跡。

その奇跡が秀房の身体を動かそうとしていた。

それでも動きがないので、やれるかどうか梅木レフェリーが秀房に確認する様子が見られた。

つとむさん「諦めんな~!!」

葉隠れさん「立ってくれめんす!!!」

私「立ってくれめんす!!!!」

嫁「立ってくれめんす~!!!!!」
※秀房が多用するダジャレ。

観衆の声が届いたのか、物凄い嫌そうな顔で、崩れ落ちた象が最後の力を振り絞るかのようにゆっくりと立ち上がった秀房。

皆さん「うおおおおおお~~!!!!!」

私「なにこれwwww」

つとむさん「ぎゃっはっはっはwwww」

つとむさん「やばいやばい、あの立ち方ヤバイwww」

コーナーにもたれかかるその姿は、これから延長戦を戦う男の姿とは思えない。

ポケットに隠したビスケットを頬張るかのようにマウスピースを口にはめる秀房。

誰の目から見ても秀房の闘志はゼロ。

スタミナもゼロだ。

残っているのは脂肪とおちんちんのみ。

それでも俺たちは秀房の雄姿に熱いエールを贈った。

嫁「ヒデが立った!w」

アナウンサー「エキストラ~ラウンドッ!」

ついにゴングは鳴らされた。

が、秀房の両手は己の顔面を守るためのガードを取らず、上半身を支える為に両ひざに置かれていた。

疲労がピーク。

それは誰の目から見ても明らかだった。

ヤツイ選手が詰めると何とかパンチを一発繰り出すが、どうみても威力はなさそうな優しいパンチ。

秀房「くらえ!優しいパンチ!」

蚊も殺せないとは正にこの事。

秀房「ひーはーひーはー!」

単発のパンチを2回繰り出した後に疲れからか前屈みになる秀房。

そこをヤツイ選手にがぶられ、ピンチを迎える秀房。

疲労感が半端なかったというか、本気の本気で限界だったのだろう。

躊躇なく引き込む秀房。

近代のMMAスタイルを完全に無視した引き込み。

勝利は度外視。

「とにかく休みたい!」


そんな強い意志を感じる力強い引き込み。

ポコポコ殴るヤツイ選手。

ダメージがあるようにはとても見えないが、無抵抗を繰り返すMMAガンジースタイルを貫く秀房。

葉隠れさん「こんな試合初めて見たwww」

格闘技の会場で、鼻声涙声になり、笑いを必死に堪えながら(堪えて無いが)こんな発言をする人を見た事はない。

そして、「さすがにこりゃ無理だろ。」と思ったであろう梅木レフェリーが試合を止めた。

「カンカンカン!」

アナウンサー「勝者!ザ・タイガービースト・ヤツイ!」

心配そうに見守るヤツイ選手。

ピクとも動かない秀房w

アナウンサー「ただ今の試合は3ラウンド50秒!」

つとむさん「ぎゃっはっはっは!!」

つとむさんが爆笑するのも無理はない。

太った何かがリング中央で寝そべっているんだもの。

アナウンサー「レフェリーストップによるTKOによりまして!」

つとむさん「ぎゃっはっはっは!!!!!」(血管切れそう)

アナウンサー「勝者、青コーナーザ・タイガービースト・ヤツイ!」

つとむさん「ぎゃっはっはっはっはっはっ!!!!!」(多分何本か血管切れてる。)

ひきつけを起こしたかのようなヤバイ笑い声で爆笑するつとむさん。

もちろん、私も大爆笑だ。

格闘技の会場でこんなに笑い声が響いた試合は記憶に無い。

当の秀房はゆっくりと身体を傾けた。

残念ながら死んではいないようだ。

うつぶせになり、神に祈りを捧げる秀房。

やっとの思いで立ち上がり、コーナーで一休みする秀房。

とにかく試合は終わった。

会場に緩い空気が流れた頃、不審な男がリングに上がる。

その手にはマイクが握られていた。

我々「???」

嫁「マイクあんの!?マイクあんの!?」

どよめく会場。

男の目線は秀房に向けられていた。

一体何が起こるのか?

男「皆さんこんばんわ。」

男「僕、横山選手の試合をYouTubeとかで良く見てて。」

男「結構有名なんですけど。」

男「僕も高校時代野球やってて。」

男「甲子園優勝して。」

男「横山選手より僕の方がYouTubeにのってるので。」

男「ちょっと検索してみてください。」

「その前にお前は誰なんだ?」という空気が場内に流れる。

嫁「名前を言ってくれw」

男「あ、田村ハヤトって言いますw」

耳が良い田村くん。

田村「今日横山選手目当てで試合見に来たんですけど」

田村「不甲斐ない試合してたんで。」

田村「次回、僕やりたいと思うんで。」

田村「もっと鍛えて、僕も鍛えてくるんで、是非戦ってください。」

私も長い事格闘技を見続けているが、敗者への対戦要求ってのは、聞いた事がないw

そして、マイクを握る秀房。

つとむさん「受けてやるって言ってやれ!」

葉隠れさん「受けろ!受けろ~!!」

観客「今やれぇ~~!!!」(無茶言うなw)

秀房「絶対勝てないと思いますけど。」

観客「勝てるよ~!!」

秀房「勝てない勝てない!」(正直)

秀房「だけど。」

秀房「戦うのは好きなんで。」

観客「おおおお~!!!」

そして握手する2人。

次回は、ガタイが良く、身体能力高そうな田村選手と、もちもちぷよぷよの性獣秀房の異次元対決。

という次のストーリーまで描かれたドラマティックな展開。

何とも不思議な感動に包まれる会場。

しかし、この記事を書いている2022年11月現在もこの対戦は実現していない。

そして、この田村選手がMMAの試合を行ったという記録も無い。

どこで何をしてるんだろうと思って調べたら。

田村ハヤトという名前で、プロレスラーになっていた。

プロレスラーになる前はMMAの練習もやっていたらしい。

このマイクアピールが黒歴史になってやしないだろうか?

まぁそれは別にどうでもいいんですけど、とりあえず今回で、秀房の新宿歌舞伎町劇場編は幕を閉じる。

しかし、秀房の物語は、まだまだ続く。

次回は「秀房、寿司を食う。」をお届けします。

秀房「うまうま!」

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