空飛ぶ車いす
「スポーツは平和なくしては成り立たない」
パラリンピックの車椅子テニス代表の国枝慎吾選手が今朝のニュースで言っていた。
彼は言わずとしれた世界の車椅子テニスを牽引する名選手である
正直、僕はテニスをプレイすることは苦手で、過去に苦い想い出もある。 錦織選手や大坂なおみ選手が出てきて、メジャーでの成績が取り上げられ、僕もわずかながらテニスに関心が出てきたが、最近の話である。
一方、車いすテニスはテレビの放映もないので、関心は沸かなかった。
その国枝選手が出ているニュースを見入ってしまった。
彼は、36歳であり2020年に照準を絞って調整してきた。 今期のこれまでの成績は順調だ。
オリパラ延期発表の3月24日からまだ1ヶ月も経っていない。
彼にとっては、ショック、落胆、他の何ものでも無いだろう。
僕は、テレビのニュース番組にオンライン画面で出演している彼をみていた。
淡々と話す表情筋の動き、瞳の動き、あるいは、会話の中で見せる笑顔の裏側にはなんとなく寂しさを感じた。
さらに言うと、その声もエネルギーを欠いていた様にきこえたのだった。
彼は、
「電源切っている」 という表現をしていたが、収まり切れていない感情も見えた。 電源を切っても感情は動いている。
僕はコーチを始めて、言語化されていないモノに対する感度が高くなった。
怪しい能力ではない。
コーチングの研修を300時間以上受け、僕自身もクライアントへのコーチングを有償で100時間以上やってきて、鍛えられたコーチ筋がそれらを感じ取れるようになったらしい。
国枝選手をもっと知りたくなりネットを検索してみた
Wikipediaには
1984年2月21日東京都出身。千葉県柏市在住。身長173cm。
おっ、なんとなく共通点があり、距離感が近くなる。
1984年生まれ ≒ 僕は1964年生まれ、 なんとなくゴロが合う。
柏市在住 ≒ 僕は隣の松戸市在住。
身長173cm、≒ おっ、こちら172.5cmです。
ここまで書いたところで、僕は国枝選手自身に興味が出てきた。
国枝選手の公式ホームページによると、
9歳で脊髄腫瘍を患い車椅子生活になったと記載があった。
一番、自由に遊んでいる年代に車椅子に釘付けになったことは、さぞ悔しかったと思うし無念だったと思う。
僕の人生経験からは想像がつかない状況を、たった9歳の子供が味わったのだった。
もし、彼より20歳年上の僕が、その時そばに居たとしたら、彼の感情を一緒に味わえただろうか? 声をかけられただろうか?
多分、できなかった。
表面に現れていない感情を言い当て、彼と共にいてそれを味わい、浸る。
そんなことは出来なかっただろう。 増しては未来に向かわせる言葉はかけられなかっただろう。
公式ホームページではさらに、
「彼は健常者とバスケットを楽しみ、そこで車いすの操作技術を楽しみながら身につけた
そして彼は(車いすテニスの世界で) 頭角を現し世界のレベルの高さを痛感した」
と記載がある。
彼の幼少期に、彼とともにいたコーチが存在したかどうか分からないが、 ネットを検索すると現在はサポートするコーチをつけている。 (技術的なコーチではなく、メンタルをサポートするコーチだ)
※残念ながら、これ以上の詳しい情報は見つからなかった。
僕の勝手な想像だが、
彼は、世界を制する過程で幾度となく、下を向き悔しさを味わい、視線を上げ直してきたのだろう。 その過程には彼を伴走するコーチがいた。
自分の願いを不屈のエネルギーに変え、更に加速して成長する国枝選手に伴走したコーチがいた。
冒頭のニュースに戻ると、国枝選手は
「今はオリンピックやパラリンピックを口に出す時ではない」 こう述べた上で、
「スポーツの価値を思う機会に期待している」
と、話していた。
少年期から周囲の健常者の中で、「自分だけが悔しい状況」を越えてきている。 そんな彼は未来を見続けている。
「強い 」
あるイベントのインタビュー記事で、こう記載されていた。
「このイベントで、何かやりたいことはありますか?」 と聞かれた国枝選手、
「何でもいいですか?」 「じゃあ、フェデラー選手と打ってみたいです」 と返答していた。
車いすは国枝選手にとって、自由に空を飛び、世界に翔ける翼なのではないか?
僕は、パラリンピックのテニスコートで国枝選手を見たい。
追伸
別の記事こう記載されている、
メンタルトレーナーのアン・クインさんに、二年ぶりに様々な角度からアドバイスを
頂きました。
この数年、テニスをやっていく中で成長した部分の方が間違いなく多いと断言できま
すが、 その反面忘れてしまっていたものがあったと気付かされました。
もう一度初心に帰る必要がある。
詳細は書けないですが、そんなところですね^^
世の中には家族がいればモチベーションが上がる選手もいる。
また、スポーツ選手以外でも、目標達成や困難克服などでコーチをつけるビジネスマンもいる。
シリコンバレーの名だたる巨人達も然りである。
スティーブ・ジョブズ(アップル共同創業者)、
エリック・シュミット(グーグル元会長兼CEO)、
ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)、
マリッサ・メイヤー(ヤフー!元CEO)、
チャド・ハーリー(ユーチューブ共同創業者)
サポートが必要な時、コーチはともにいる。
自分の翼を見つけて羽ばたけるように。
<おしまい>
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