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マザコン

マザコンである。

わたくし自身は、ポンコツな奴だけれど
わたくしの母は、自慢の母だ。

ボーイフレンドの一人が、我が家にやって来た時
きっと、ナンシー関か京塚昌子みたいな人が出てくるとイメージしていたのに・・・って絶句していたのが、おかしかった。

(ナンシー関も京塚昌子も、知らないお嬢さんは、お母さんに聞きませう。)

細くてふわんって印象の、
母は、わたくしとは、似ても似つかぬ
穏やかで、優しい人だ。

今朝も母が庭に出てみると、庭木に雀がとまっていて。
庭の赤い実をつついては、ちっちっちっちって哀しそうになくんだそうな。

大分弱っている様子で、脅かすつもりはないけれど、
近づくとちっちっちっちってなくので、おなかがすいているんだろうと思いはするものの、どうしてあげることもできず。

ああ、もうダメなのかも・・・と、そっとハラハラしながら見守っていたら、

「どうやら母雀らしきのが飛んできて、
導くように一緒に飛んで行ったのよ~。良かったわ~。」って。

「きっと体は大きかったけれど、あれは小雀だったのね~~」って。

・・・良かった。良かったねえ~~。

そういえば野生の雀の寿命は1年。
長くて2,3年って聞いてから(これは、漫画「とりぱん」で知った。)
雀を見る目が変わっていたわたくしも、母の話を聞いて安堵する。

まあ、とにかく良かったよ~~。


そんな母が
真剣に怒ったことが、ある。

わたくしが、椎間板ヘルニア3か所同時発症で
手術をしたって事は以前書いたっけ?。

その手術前にも入院していたことがあって、その時は4キロの重りを下げて
天井見上げたまま、ただひたすらじっとしているって治療をしていたのだけれど、その時、造影剤検査ってのをやったのね。

より詳しく状況を画像で判断したいって訳で・・・・。

それは良かったのだけれど、この造影剤が
わたくしに合わなかったのだった。

見事に合わなかった。

で、どうなったかというと、

痙攣。

看護婦さん2人がかりで押さえつけられても、撥ね飛ばす全身痙攣。

う~~ん。イメージとしては、エクソシスト??

たまたま前日足の手術をした男の子が同室で、
(整形外科病棟は混んでいたので
小さい子は女性の部屋にも入り込んでいたのさ。)

わたくしがベッドごとバタンバタンやるものだから
傷に響くって怒るんだけれど、その怒った声、聞こえてはいるけれど
わたくし、どうにもこうにも自分では、コントロール不能。

で、ドクターがやってきて
造影剤を薄める注射をする訳なんだけれども
これが結構きつい注射らしくて。

最初

「これを打って30分もすれば、落ち着きますから」

ってことだったのだけれど

・・・・

・・・・

効かない。

わたくしは、ずーーーっと
ばったんばったん痙攣しっぱなし。

当然体力的にもきつい状態で、2回目、ドクターが来て

「・・・大丈夫です。2本目打てば・・・」

1時間後・・・効かない。

・・・・

・・・・

すると、ドクターが病院長と一緒にやってきて言った。

「この注射はきつい注射なので、3本目を打つと万が一ってことが
ひょっとすると、あるかもしれない。

御母さん、同意書に署名してくださいますか?」

その時、母は

「・・・署名します。
だけど、この子が助からなかったら、赦しませんッ!」

わたくし、痙攣しながら、初めて聞いた母の強い言葉に驚いていた。

・・・

・・・

まあ3本目の注射のおかげで、わたくし、今、のんきに
こうやって生きている訳だけれども。

それにしても、驚いたよ。
あの怒った強い声。

大事な母。

とても大事な母である。

わたくしは、マザコン。

ええ。間違いなくね。

わたくしの母は、細くてふわんって印象の
穏やかで、優しい人だ。

笑う時は、花が開くように、笑うよ。

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