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夜が明ける頃

高原の、標高1200mにある我が家でも、今年の夏は暑い。かろうじて冷房はいらないけれど、夜は扇風機を回しながら。
猫にとっても流石に暑いらしく、夜は同じ部屋にいるけれど、ベッドの上の、足元の辺りで寝ている。それはそれで、うっかり寝返りついでに蹴飛ばしてしまいそうで気を使うのだけども。

でも。夜が明ける頃、そう、外では鳥が鳴き出す頃。まだ薄暗い中、足元の方に、「ゴエ?」って声をかけると、すっと立ち上がって、そして腕の中に入ってくる。
そして、ワタシの脇辺りを、まるで寝かしつけるみたいにモミモミしてくる。
そんな猫との暮らしはやっと半年。でも、もう半年?なんだかずっと昔から、こうしてるみたいな、そんな気になる丑三つ時。

ワタシの数少ない趣味に、「山に登る事」がある。家の人に犬の世話を頼まなくてはいけない負い目から、そんなに頻繁にはできないのだけど、一番好きなパターンは、夜中0時スタートで、真っ暗な登山道をヘッドライトの明かりを頼りに進み、稜線で夜明けを迎えるというもの。
真っ暗な森は怖くないの?って言われても、何故か怖いと思わないし、なんだか悪い事をしているみたいでドキドキさえする。
そして墨のような空にすうっと一筆、白っぽい色が地平線の向こうに描かれて、一番鶏が鳴き出す頃。
そんな時間帯に、まるでワタシを現実の世界に引き戻すかのように、腕にそっと入ってくるふわふわした、あったかいイキモノ。


もふっとな


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