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52Hzの鯨の唄

絵と出会ってからのこの7年間で、随分と遠くまで来たなあ、と思う。高校1年生で絵を描き始めた私は、7年後、1年浪人した後の大学3年生で、企業さまからイラストレーターとして働く契約を持ちかけられた。もちろん美術系の大学でも高校でもない。本当に普通の、ただ絵が好きな人間が、企業雇用のイラストレーターになってしまった。まあイラストレーターと言っても私は本業は別の仕事をしようと考えているので大学生の間だけだけども。ふと振り返れば自分の辿った道のりがあって、もう岸辺は見えないほど遠く、遠くの海まで来たように思う。

辛いことはたくさんあった。絵をほとんど描かなかった時期もあった。でも、本当に苦しいとき、私を救ってくれたのは、決して、間違っても人間ではなく、絵だった。絵が、創作があったから、ここまで生きられた。どんなに人が辛くあたっても、スケッチブックを開けば創作はいつも側にいた。

きっと私はこれからも絵の透明な言葉に救われてなんとか一人で生きていくんだと思う。それは寂しくて悲しいことかもしれないけど、私は、絵が側にいてくれるなら、神さまが私が絵を描くことを許してくれるなら、孤独だったとしても幸せだと思う。だって、私という孤独な52Hzの鯨の唄は、たくさんの人に届いたのだから。これからも、1人でも多くの人が私の絵で少しでも幸せになれることを願いながら、私は絵を描き続けるつもりだ。ずっと、ずっと、ずっと。この腕が動かなくなるまで。

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