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文明の利器に逆らうな

おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます。

昨日、車を運転していると、天より雪が舞い降りてきました。音を立てずにゆっくりと………。
「嗚呼…雪ではないか。こんにちは」
僕は車中より雪に挨拶をしました。

僕は普段、テレビを見ません。つまりニュースも天気予報も見ないわけで、突然の雪に対し、僕は感激しながらも大変驚きました。

だって、だって、僕は今、県外にいるのですから。ノーマルタイヤの車を運転中なのであります。

これは困った。困ったゾ。ノーマルタイヤとはね…。

だけど、僕は路面状況を見て、安堵した。
「皆の者、見たまえ。路面が濡れておる。つまり先ほどまで降っていた雨が雪に変わっただけのこと。路面が濡れている以上、雪が降り積もる事はあるまい。全軍に告ぐ。我に続くのだ。突撃~!」

三国志に登場する君主のように、僕は独り言を発しました。

「でもさあ~なんで県外にいるの? 暇なの?」

なんて声が僕の脳裏に届きました。

まあ確かに暇だからこそ、車をうんならかして県外に来たのだけれでも…。

違うのです。どうか聞いて頂きたい。
今朝起きた僕は、無性にラーメンが食べたくなったのであります。
なのでまずnoteを書き終えた僕は、朝食を拵えずに着替えて車に乗りました。雨が降っていたけど関係ない。雨ごときでラーメンが諦められますか?

ほいで、目的のお店に到着する直前に、雨から雪に変わったのであります。

車中から天を見る限り、パワーウィンドウを下げて風の音を聞く限り、このあと雪は再び雨に変わると、僕は感じました。

そして僕はこの時、悟ったのであります。
天気予報なんぞ見て、一体全体何になるというのか。
こうして自然と対話をすれば、ちゃんとお互いを理解し合えるのだと。
つまり、文明の利器に頼ってはならないと言うわけです。


目的地のラーメン屋に到着しました。
時刻は11時。開店30分前だと言うのに、すでに10人以上が並んでいる。
普段待つことが嫌いな江戸っ子であるTAKAYUKIなら、一目散に移動して他の店舗のラーメンを食べる所だが、今日はどうしてもここのラーメンが、辛味噌ラーメンが食べたいのだ。

「ってか、自分は天気予報を見ないんだろ? ぢゃあ、このラーメン屋はどうやって見つけたの?」

なんて輩の声が僕の脳裏に…。

「よいかそこの輩君。このお店は大先輩から教えて頂いたのだ。週5ラーメンを食べる大先輩からな。スマートフォンを使用してラーメンを探すなんてまさに下策。美味しいラーメンも、一流の営業マンも全て紹介、口コミで成果を収めているのだ。よく覚えておくよ良い」

30分後、お店がオープンした。
寒い中、我慢した甲斐があったものだ。たまにはこうして我慢をするのも良いかも知れない。
僕は右手で雪を掴んだ。
「雪よ…しばしの間お別れだ」
僕は雪に皮肉な言葉を浴びせた。

「すみません。もう少しお待ちくださいネ」

僕の前でちょうど満席になった。
雪が僕をあざ笑っている声が聞こえる。
今日は仏滅か?

15分後、吹雪になってきた。
頬と耳に当たる雪が痛い。
僕は後ろを振り返った。

「誰もいないじゃん!」

並んでいるのは僕一人だった。
寂しい…寂しすぎるぞ。なんでみんな帰ってしまったのだ。これでは僕が、阿保丸出しではないか………。
駐車場に止まっている車のナンバープレートも、僕だけ県外。トホホ。

ようやく2人の客が自動ドアから出てきた。
「やったネ!」
僕は店内に入ると、ポケットから財布を取り出した。
メニューはもう決まっている。
辛味噌ラーメンと半ライス。1200円。

だけど、手がかじかんで財布が開けられない。
「大丈夫ですか?」
茶髪の店員さんから心配の声をかけられた。
「だ、大丈夫です」
僕はそう答えるも、焦りからさらに財布が開かない。手が震えてしまい、見た目は完全にアル中野郎になっている。

僕はお腹に力を込めることで手の震えを制し、何とか食券を購入した。


10分後、辛味噌ラーメンと半ライスが到着した。
小学校低学年の給食を食べる合唱のように、僕は声を小さくして言った。

「いただきまあ~す!」

丼から上がる湯気を顔面に感じながら、まずは蓮華でスープを一口。
「うまし。うまいぞ」
鶏がらスープと合わさった北海道の味噌。そこに辛さもプラスされて尚美味しい。
中太のたまご麺に、ラー油で赤く染まった白髪ねぎを乗せると、僕は大口を開けて一気に口の中へ。

「うん…辛さも抜群だネ」

もう僕の独り言は止まりません。
ってか、いいじゃん。周囲は無視してラーメンに集中しようぞ!

3口食べ続けると、さすがに口の周りがヒリヒリしてきた。
そこで半ライスの登場です。
箸休めと辛さを緩和させる為の半ライス。
そして丼に残ったスープと一緒に食べる半ライスは、まさに芸術の域に達していると僕は思うのであります。

額に汗を感じながら、僕は完食しました。
店内には僕しかおりません。
お腹も一杯になって、実にいい気分。
僕はグラスに入っている水を飲み干しました。

「ご馳走様!」

僕の声はスルーされました。
ちょっと傷つきました。

自動ドアを出ると、先ほど同様に外は吹雪いています。
僕は急いで車に乗ると、エンジンをかけて出発しました。

が、国道は大渋滞。
では高速道路で帰ろうか?
いやいやいや。
雪の中、ノーマルタイヤで高速道路は走行できません。
つまり、高速道路に乗れない車両たちが、こうして国道に集結しているのであります。

1キロ進むのに、およそ20分もかかる。
「まあ、こんな日もあってもいいんじゃネ?」
僕は自分を励ました。

1時間後、コンビニでトイレを済ませ、特茶を購入。

2時間後、本来なら帰宅している時刻なのに、まだノロノロ運転中。

3時間後、ガソリンを給油。

4時間後、再びコンビニにてトイレ休憩。メントスを購入。

5時間後、ようやく自宅に到着。

時刻は17時を過ぎていました。

みなさん、やはりテレビやスマートフォンを駆使して、天気予報は毎夜確認しましょうね。

文明の利器に決して逆らってはなりませぬゾ。


うくくッ。


【了】


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