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小刻み走!

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

今朝もいつも通りの時刻に玄関のドアを開けた。
「嗚呼…寒い。まだ12月だよネ? にも関わらず気温1度ってサ、来月はもっと寒いはずだョ。どーしよ。どーしよ」

なんて言いながら愛車に乗ってエンジンをかけた。
「車内も寒い。ってか、これなら外の方がまだマシかな?」

僕は運転席から降りた。でも風があるぶん、外の方が寒い。

「10年前だったら、シガレットを吸いながら庭をウロウロしたけど、既に禁煙に成功した。車内が温まるまで何をすればいいのだろう」

とりあえず僕は野良猫を探すも、こういう時に限って全く見つからない。全く、僕が今日までどれだけ『ツナとささみのハーモニー』を買い続けたと思っているんだ。愛車の年間保険料くらいは支払っていますョ。マジで。ガチで。

全然身体が温まらないその時、僕は閃いた。

そして、その場で『小刻み走』を始めた。




中1の冬、外で体育の授業が始まった。当時は体育の時間となれば阿保丸出しで全員が半袖・短パンにならなくてはいけなかった、まさに暗黒時代。

「なんだ。寒いのか?」

体育担当の猿蛸先生が言った。齢40くらいの坊主頭。こめかみにデカイほくろがあったのを覚えている。

ってか、外は曇天で風が強い。風が容赦なく僕らの皮膚に攻撃をしてくる。しかもまだ2限目。
「早く始めろョ、ほくろ!」
僕は心の中でキレていた。

するとそれを見透かした猿蛸先生が言った。
「みんな朝ごはんを食べてきたのか? 朝ごはんを食べないから臓器が起きなくて寒いんだョ。先生を見て見ろ。何も寒くないゾ!」
猿蛸先生が自信満々に言った。

そらそうだろうと僕は思った。だって、猿蛸先生は長袖長ズボンのジャージを着用しているんだ、寒いわけがないじゃん。
だけど僕らは、半袖・半ズボン姿なの。朝飯だって既に消化済み。若いからすぐに消化してしまうんだョ。猿。蛸。

猿蛸先生の無能ぶりに、僕は絶望を覚えた。こんな人から何を教わるんだ。ってか、あなたは社会人としてちゃんと機能しているの?

「しょうがないな。みんな、今から小刻み走をするから良く見ていろ」

すると、猿蛸先生の目つきが変わった。

猿蛸先生は前かがみになると、つま先で地面を蹴り出した。その場から動かず、両手も動かさず、踵も地面につけず、ただつま先だけでひたすら地面を蹴り続けて行く………。

猿蛸先生の顔が真っ赤になった。

ってか、何をしているの? 猿蛸先生。もしかして土地狂ったのかい? ってことは、教室に戻って自習だネ。やったね。うれぴー。


だけど、そうはならなかった。
1分後、猿蛸先生が息を切らしながら、ようやく小刻み走を終えた。

「どうだ…先生はいま物凄くアツくなった。全然寒くないゾ…」

猿蛸先生がジャージの上着を脱いだ。細くて白い両腕が露わになった。それを見た僕は、『もやし』だと思った。これで今日から猿蛸先生のあだ名は『ほくろ』から『もやし』になるだろうとも思った。

「ヨシ。みんなでやってみるぞ。いいか。上半身を前に倒して、その場でひたすらつま先を使って地面を蹴り続けるんだ。よーい、スタート!」

男女40名の中1たちが、一斉に小刻み走を開始した。
地面をつま先で蹴る、「ズゾゾゾゾゾゾ」という音が耳に届く。僕も全神経を集中させてつま先で地面を蹴って行く。すると徐々に地面が凹んで行く。意外と楽しいかも?

「残り30秒! もっと早く! 地面を蹴れ!!!」

もやしの怒号がグラウンドに響き渡った。何を偉そうに言ってやがるんだ、もやし。ふざけるな。なめるな、もやし。

僕はギアを入れて、さらに地面をつま先で蹴り続けた。

北斗百〇裂拳。高橋〇人の16連射だ。うおおおおおおおおおおおッ。

「終了~」
もやしが大声で言った。
全員の息遣いが聞こえてくる。そして身体は一瞬にして温まった。

「どうだ、これが小刻み走だ。もう寒くないだろう? そうだろう?」
「はい!」

「それじゃあ、授業を始めるか。まずはグラウンドを2周しょう」
「走るのかよ!」

そう言ったもやしは、脱いだジャージの上着を着用した。



僕は小刻み走をやめた。
息が乱れる。嗚呼…マジでガチで疲れた。
でも身体は温まった。
流石は小刻み走だ。ってか、この『小刻み走』という漢字は正解なのだろうか。
まあ、いいや。当て字ってことでいいよネ?

そのまま運転席に乗ったけど、もう寒さは感じなかった。

「ありがとう、猿蛸先生。ほくろ。もやし。行って来ます!」


みなさんも是非、小刻み走をしてみませんか? 


マジでガチで瞬時に温まりますョ!!!




【了】



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