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読書記録⑤「そして誰もいなくなった」

あらすじ  

さまざまな職業、年齢、経歴の10人が、U・N・オーエンと名乗る符号からインディアン島に招待された。しかし、肝心の招待主は姿を見せず、客たちが立派な食卓に着いた時、どこからともなく客たちの過去の犯罪を告発してゆく声が響いてきた。そして、同様の通り、一人、また一人と・・・・。ミステリの女王の最高傑作。                        

感想
アガサ・クリスティといえば、この作品!と言われるくらい、超有名な話。
話の構想やトリックなど、この後,、いろんな作家さんがオマージュをこめて真似しています。
綾辻行人(あやつじゆきと)さんの「十角館の殺人」。
名探偵コナンの黒ずくめの組織のボス「烏丸漣耶(からすまれんや)」の初登場シーン(30巻 黄昏の館)。
その他にも「そして誰かいなくなった」「そして二人だけになった」など多数にのぼります。

孤島などのクローズド・サークル。
童謡などになぞらえて一人ずつ消えていく緊張感。
とにかく、こわかった、ぞーっとしました。
特に夜に読んでいると、何か忍び寄ってきているような気がしてドキドキしました。
自分が犯人と予想した人も含めて、登場人物全員がいなくなり、どうなっているのか?と、得体のしれない、見えない恐怖みたいなも広がっていきました。
話のテンポも速いから、ゆっくり考える間もなく、登場人物たちと同じように、疑心暗鬼、混乱の中で・・・次なる展開に引きずり込まれる感じでした。
今では、同じような設定でのミステリー作品は多いけど、最初にこういう構想を考えたこと自体、すごいなと思います、素直に。

登場人物も男女、様々な年齢の10人。違う職業、経歴の持ち主ばかりなのに、ちゃんと、それぞれの個性が出ています。
各人物の使う言葉、言葉遣い、どんな話をするか、ちょっとした服装や表情の描写。被害者(容疑者)が10人いると、どんな人か頭の中がごっちゃになるのですが、この作品に関しては、最初の導入(登場)部分で、混乱することなく、頭に入ってきます。頭の中に、それぞれの人物像がくっきりとイメージできました。
 
先に、「こわかった」と書きました。
それは、見えない者に対する不安と言うか、怯えのような気持ちが主です。10人死んでいく話なのですが、残酷だとか、陰惨だとか、読んでいられないというような嫌悪感、後味の悪さは全くありませんでした。

スマホやドローンなど、便利なものがある現代では「ありえない」設定、成り立たない物語とはいえますが、読み始めれば、一気に読めてしまいます。設定に、あれこれと文句や注文など出さなくても、知的な娯楽として、十分に楽しめる話(本)です。

現代でも「色あせることのない傑作」と言われるのにも頷けます。

書籍情報
第1発行 2003年10月15日
発行所  早川書房
定価   680円(税別)

昔からある本です。何回も新しい日本語訳で改訂されています。
表紙の写真もどんどんと変わっています。

皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです





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