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ドン引かせる女

学生だった頃、嵐のファンでした。
デビュー曲の『A・RA・SHI』は擦り切れるほど
(CDなので擦り切れませんが)聞いていました。
ちなみに押しは櫻井翔さんでした。

わたしがお世話になった寮には
近くの大学の学生さんから合コンのお誘いが掛かってくるなぞの公衆電話が設置されていました。
(普通の用途に使う寮生ももちろんいました。)

公衆電話が鳴ったその日、
わたしを含むいつもの4人組は
空いていたのでこりゃラッキーだと
いそいそ繰り出していったのです。

学生ですから、ごはん食べてカラオケ行く
定番の流れです。
ごはん代も男性が奢ってくれたり、
割り勘しても少し安めにしてくれたり、
なんかあの頃よかったなぁ。
と思ってしまいますが。

そのあとカラオケに行くと各々、曲を入れ始めるのですが、わたしも早速に『A・RA・SHI』を送信。マイクを持ってばっちこいと構えていました。
すると、合コン相手の男性が翔さんのラップ部分を歌い始めたではありませんか。

(ん?なんでわたしが入れた曲をあんたが勝手に歌うねん。)

疑問の感情からのなんかむかつくなぁの感情が沸き、わたしも翔さんを憑依させて魂を込めてそれは完璧にラップをかましてやりました。振りつきでエアテンガロンハットかぶってね。

歌い終わって、彼はドン引いた顔で
「ラップのとこって、男に任さへん?普通。」
と言うのです。
「は。ラップ歌ってなんて頼んでないけど。」

(この男はどんな合コン相手と今まであそんで
『ラップ=男が歌う』になったんや。)

(は。しまった。そうだ。
合コンなんだ。やり合わんと楽しまんと。)

心の声は時遅し、なんとなく変な空気になった合コンはサラリと早めに撤収になりましたとさ。

ところが後日、別の合コンでも似たような事案が発生。
踏まえた結果、お相手をドン引きさせないためにも《合コンでは》渾身のラップを披露することは控えることにしました。

ちなみに誤解がないように付け加えさせてもらうとわたしはラップが得意なわけでもなんでもなく、むしろ滑舌悪いくらいの人で『A・RA・SHI』は聞きすぎ好きすぎ故にたった一曲まともにラップ部分を間に合わせる事ができた曲だったのです。
20何年たった今現在、舌をかむのがオチでしょう。

最後に仲間たちごめんよ。
何度か巻き添えにしてしまったね。
こんなわたしを含めていつもの4人で居てくれた仲間には感謝しかないのでした。

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