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常世の国から⑫

「しゅぎょうのじんせい」

グラフィックデザイナーになるための専門学校を卒業後、すぐに結婚して子供がいる生活から始まりました。
妻には未だに苦労をかけています。

僕は30歳になったらアートディレクターにならなければならない。

と決めていたので、結婚や子どもがいることは、それとは関係ないと思い込んでました。
今から思えばとんでもないことです。
でも決めたことはやらなければならない。いつもの使命感に動かされていました。

だから僕と結婚すると苦労をすると妻に伝えてました。
彼女は、あの頃の自分に会って「目を覚ませ‼︎ 」と言い聞かせたいといまだに言ってます。

僕にとっても苦しい修業の時代でした。当たり前ですが…。
今、専門学校の講師をしています。
夢があることは大事な使命を与えられていることだと伝えています。
そう言っていても本当にわかるのは少数ですが……。
また、夢が叶ったとしても、続けて行くことは更に大変な修業です。

職業だけでなく。全てにおいて修業と思わないと掴めるものも掴めません。
僕は欲に溺れてはならないと言ってますが、本来は全てが叶うことを望んでいます。
だから、なりたい職業になること、行きたいところに行き、会いたい人にも会う。そのことはもちろん。その為に何かを失うことはあり得ないと思っています。

そういった意味での修業です。

山寺に籠り、滝に打たれる。そんな好条件であれば、そりゃあ何かを悟るでしょう。
俗悪にまみれた都会の中で、お金や誘惑に惑わされず、曇りのない目で世の中を渡り、自分の使命を果たすことこそ修業だと思っています。

「一緒にやらないか」と声が掛かりました。
学生時代には絶対こいつとは合わない。
と思っていた人物「N」です。
だからこそやってみたいと思いました。

この出会いがなければ、僕の人生は成り立たないと感じました。
即決して彼がつくった会社に入り、アートディレクターとしてやっていくことになりました。

ちょうど30歳になったときでした。

ひのたろう



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