生活保護叩きについて。雑記。

令和の世で一体どうやったらこんな時代錯誤の批判が飛び交うのか皆目不明だが、「生活保護受給者と俺らの給料のギャップがおかしい!」と必死に、そしてさも筋が通った話だと言わんばかりに喚く人々が後を絶たないようだ。

さて、確かに今の世情では生活保護を受けた方が家計が楽になるという人々は多いだろうが、その人々は他方で受給手続きをしに行かない事が多い。当然受けた先の暮らし向きが決して楽園ではないことが想像できるからだろう。

生活保護の額を各都道府県見てみても一度受給を始めると自立までの道のりは一層険しくなる事が分かる。生活保護受給者は家賃、水道光熱費、食費、奨学金があれば返済、体調が悪ければ医療費、その他税、保険料etc、をそれでも支払わなければいけないのでこれらを考えれば労働の負荷と給料の関係は労使交渉及び法令の整備による労働者の権利の拡充が必須であり、生活保護受給者を叩いても民間企業の懐に返ってこないので給料は売れ行き減少を追い風に一層悪化しないとも限らない。

それに、多く見られる論調の一つには「俺達の税金で食っているからズルい」というものが散見されたが、寧ろ今の不景気は回収した税金を使っていない事に起因している様子さえある。税金の使途についてはググれば政府のHP等で確認できるだろうが、日本政府は少なくない額の回収した税を「債務償還」に充ててきた事がうかがえる。この債務の内訳はいくつかあるだろうが、今回はトータルで国債と考えて行く。

国債とは利子付きの債権であり、現状の仕組みではこの国債を発行して大部分を日銀が買う事で財源を確保している。しかし、国債を発行する上での原資は存在せず、謂わば概念に利子が付いている状態である。然るに債務償還が税金で行われると税金は虚無へと変換され、破壊を余儀なくされる。つまり日本国家で流通していた通貨(日本円)の量が減る。

なので手続きとしては回収した税は必ず債務償還ではなく他の支出に充ててもらわないと、生活保護受給者も労働者も双方が厳しい椅子取りゲームを強いられる事になる。畢竟、俺達の税金が生活保護費に回っている=俺達の給料が厳しいという等式は成立しない。

この仕組みが理解されたならそこから派生しがちな「だから生活保護受給者は税金を収めている俺等に感謝しろ」も成立しないし、なんなら「税金を収めてる俺偉い」も同様に成立しない。

究極、社会に適合してる俺スゲーは経済的な観点から見れば成立しようがない。

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