見出し画像

小手鞠るいさんの「君が笑えば」を読みました。

小説の登場人物って限られた人数しか描写が難しいと思うのですが、その限られた人のなかに、共感できたり感情移入できる人がいると、その小説を読む進度が早まります。

同じ職業、同じ立場、同じ考え方・・・いろいろありますが、結局のところ琴線に触れるのは、根本的に常に抱えてる悩みや迷いや、目指す人間像や、信じたいあるいは信じるべきだと思う生き方などにオーバーラップしてくるときではないでしょうか・・・。

まあ、小説の主人公のような職業や生き方は、基本自分の生き方とは違うとして、それでも共感する場面を見つけると、引き込まれたり、心が震えたりします。

今回の作品は芸術肌の人たちとそうでない人との絡みが対照的で、僕は芸術に疎い人間なので、もちろん芸術肌でない方の登場人物の生き方がよくわかるのですが、自分の努力だけではどうにもならない壁を、どのように心の中で折り合いをつけていくのか?というテーマが読み取れた感じがします。

どちらかというと、芸術肌の人の方にスポットが当たっていた感じがするのは、描写のしやすさからして仕方がないと思います。

共通してたのは、たゆまぬ努力・自分一人での決断・諦めとそのタイミング。。。人生のあらゆる場面で要求される取捨選択をどのように自分を納得させながら行えるか?それを会得することが、大人の階段を上ることだと言えるのかなぁと、それぞれの登場人物を通じて感じました。そして自分の歩いてきた道を振り返っていくつかの岐路を思い出しました。

まあ、失敗の連続の中に小さな成功があり、その成功にすがりまた失敗を繰り返す・・・僕はずっと大人になり切れない・・・けれど、自分だけは自分を許そうと思います。

エンディングに見られた高揚感よりも、その人物たちを支える、あるいはとりまく人々のささやかな生き方に強い共感をおぼえ、物語にはなりづらいその人たちの人生を想いながら、ときどきこの本のタイトルを思い出すのではないでしょうか・・・。

「君が笑えば」・・・とても短時間で読了に至りました(^^♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?