過去に囚われる女の話②
以前は私の幼少期の話を書いたっけ。
今日はその続き。
中学生の時の話。
この頃はとにかく人に嫌われたくなかった。
それは今も続いていて、もはや私の性質なんだけど。
地元とは離れた都内の私立へ進学した。
入学当初は「誰からもなめられたらいかん」と思い
まあまあガン飛ばしていた。
みんな私立らしくピシッとした格好をしているなか
私は入学式初日からスカート全折り、第一ボタンは閉めずネクタイを緩め、オリエンテーションでは肘をついて担任の話を聞いていた。
(今思うとただのイキった中学生で恥ずかしい)
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というのも、私は小学生の頃に女子からなかなか精神的にくるいじめにあっていた。
昨日まで仲良かった子たちが、今日急に私を無視し始める。他のクラスメートは助けてくれない。
ことの発端はそれなりに発言力のある女子一名が、私のことをとても嫌っていた。
彼女はとても陰湿な子だった。
なんとなく自覚はあった。言うても小学生。私は少し容姿が良くて、所謂一軍男子によくちょっかいを出されていた。その様子を見てる彼女の目は確かに笑っていなかったからだ。
その頃から小さな意地悪をされるようになった。自宅へ呼ぶと物を盗まれてたり、一緒に遊んだ時は急に電話で「みんなで遊んでいるから」と呼び出され、いざ向かうと「やば、本当に来たんだけど笑笑」と他の友人に笑っていた。目の前で。
そんなことが続いて彼女とは距離を置いたんだが、進級して五人の女子と仲良くなった。「6児イチ」なんてグループ名をつけ。それなりに楽しく過ごしていた。
そんな私が気に食わなかったのだろう。彼女は我々に笑顔で近づいてきた。我々の溜まり場のようなところにあたかも仲間のようなフリをして入ってきた。彼女の噂はすでに悪く距離を置いている人も多かった。しかし彼女の持ち前の明るさで、私以外の「6児イチ」は彼女を受け入れ始めていた。
そこからは本当に地獄だった。
私の知らない遊びの約束。私の知らない昨日の話題。明らかに彼女は私が知らない言葉ばかりを私以外の「6児イチ」に話すのだ。
極め付けは、私の目の前に現れ、「私ね、5児イチがだーーいすきなの。早く私もメンバーに入れてもらうのが夢なんだ〜」と。
私は笑顔を保つのでギリギリだった。
彼女はこう言っているのだ「お前は邪魔」だと。
他のメンバーは居心地が良くて好きだった。話も合った。恋愛もお互い応援していた。でも彼女が入ってきたことによって居心地が悪くなった。
いつ彼女が他のメンバーに私の悪口を言うのか、気が気でなかった。
実際、彼女は私の知らない所で彼女たちに私のことを酷く貶していたそう。
これは卒業後に会った友人から聞いた話だ。
昨日まで仲良くしてた子たちに急に距離をおかれ、遠くから冷たい目線が送られるのである。
私はこの頃からずっと人間不信だし、カウンセラーさん曰く「過去のトラウマ」らしい。
担任は助けようとしてくれたみたいだが、「〇〇さんにいじめられてるの?」と聞かれた時は、ひどく悲しかった。
認めたくなかったのだ。自分がいじめられていることに。
「ちょっと喧嘩しただけです。何もないので先生も何もしないでください」そういって先生が差し出してくれた手を私は払いのけた。
大人になった今でも、きっと当時と同じ事を言うだろう。
大人は子供を守る存在だが、子供たちのコミュニティから大人がひとりだけを救うことは出来ない。
大人の差し出した手を掴んだ途端、その子供はコミュニティのなかで異端者となってしまうのだ。
幼稚園から一緒に過ごした幼馴染もいた。好きな人もいた。けれど皆私から離れていってしまった。
こうして私は卒業まで机に突っ伏して過ごした。
そして、卒業式では親も来てくれず
友であったはずの彼女たちとも誰とも思い出を語り合う事なくすぐに6年過ごした学舎を出た。
その日の夜は、「やっと今までのの苦しい生活から解放される」という安堵とどうしようもない虚無感から涙が止まらなかった。
(この頃も家庭はいろいろあって自殺しようとしたんだが、それはまた違う話で。)
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中学生ではこんな思いを二度としたくなかった。
だからこその中学デビュー。完全に勘違いである。
それでもいじめられることは無かった。
「ちょっとした問題児」と見られてか、周りに似たような友達はたくさんできたし、男子とも適度な距離を保ち、女子に反感を喰らわないように程よくやってきた。
だがこれも失敗だったようだった。
私がインフルで休み久々に登校をした日、教室の前で友達に引き止められた。
「(私)が休んでる間、⭐︎⭐︎さんがやばかったよ…気をつけて」と。
⭐︎⭐︎さんとは、クラスメートの所謂一軍女子だった。
どうやら彼女も私のことが気に食わなかったようだ。
私のいない間「あいつがいるとあいつの取り巻きのせいで全部勝手に決められる」
そんな話が上がっていたらしい。
私はひどくショックを受けた。
その言葉より、私自身がいつの間にかそんな立場になってしまっていたことが。
かつて私を仲間外れにさせた彼女のように、私は発言力を手に入れてしまっていたのだ。
私はそこから慎ましく過ごした。一軍女子の言うことを聞き、黙っていた。
それでも彼女たちは私を悪者に仕立てようとした。
けど小学生の時より苦しくは無かった。腹は立ったけど、
私のそばに友達がいたから。だからこの子たちは大切にしようと決めた。
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中2に上がると、おそらくこの学年で一番発言力のある子と同じクラスになった。ひとりだった私に声をかけてくれて友達になった。彼女は優しかった。仲間を思い合える仁義のある熱い子だった。だからか、私の前クラスメートの⭐︎⭐︎さんとはとても仲が悪いようだった。
その子との毎日は楽しかった。一緒に遊びに行き、たまにイタズラをし、とても中学生らしかったと思う。
それでもなぜか、心にポッカリ穴が空いたようだった。
私はどうしても彼女を心から信じられていなかったから。
彼女は人の悪口をたまに言う人だった。
私はやっぱり人間不信なんだと感じた。
「この子は本当に私を友達だと思ってくれているのかな?」「この子の悪口の矛先がいつか私に変わるのでは?」
私は今までの経験を踏まえて、あまりでしゃばりせず、男子とは必要最低限にしか話さなかった。
女の揉め事は男が関わるって既に気づいていたから。
そんな生活を送っていたら、ある日の夜
プツンと何かが弾けた。
涙が止まらないのだ、理由もない不満もない。
なのに耐え難い虚無感が私を襲い続けた。
そして私は夏休みを利用して母方の祖父母の家へひとりで行った。
理由はうまく説明できないけど、「何か」から逃げ出したかったような気がする。
(そして前回の話と繋がる)
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