こんなもんでも私なの
退職を前に、学生時代の友人たちに連絡をとった。気の置けない、今でもちょこちょこ顔を合わせる仲良しグループ。ゼミで一緒に切磋琢磨した仲間。うつになり、仕事も退職するというこの状況、かつての自分なら絶対に打ち明けられなかった。
なんとなくこのメンバーの中で、1番しっかりしていなきゃいけない、1番成績がよくなくちゃいけない、何でもそつなくこなしていなくちゃいけない、というスタンスでいた。実際、そういう優等生キャラでいることで、すごいね!さすがだね!と言われるのは、嬉しくもあった。
でも、いつもいつも順風満帆でいるのは無理がある。そこで弱みを見せられたら良かったのだが、どういうわけか自分は、「他の子も上手くいきませんように」という歪んだ感情をもっていた。今書きながら、なんて自分は失礼なやつなのだと苦々しい気持ちになる。
うつを経験して、嫌でも「あれも、これも、みんなのようにできません!」という状況になったことで、「悔しいけれど、自分はこれくらいしかできないのだな。こんなものなんだな」とやっと自分の現実を認めることができるようになった。
すると、かつて優等生であり続けようとした頃の友だちに、「うつになっちゃってね…」と打ち明けることに、さほど抵抗がなくなっていた。それでも一瞬、「『ああ、やっぱりね、そういう病気にかかりそうだったよね〜』って思われるんじゃないかな」と不安になる。しかし、私はこんなもんなのだ。それでいいんだ。そういう弱みだってあるんだ。完璧じゃないんだ。今はそう開き直ることができる。
幸い、どの友だちも全く変わらぬ様子で、今まで通り接してくれている。背伸びしている自分でも、どん底に落ちた自分でも、どんな自分でも大丈夫なのだなと、友だちの優しさに感動する。本当にありがとう。
今は友だちの話を聞きながら、素直に「みんなすごいね。よかったね」と感じて、伝えることができるようになってきた。本当になぜ今までそれができなかったのか、優等生でいたかったのか、自分でも謎である。よくできる友だちがうらやましかったり、ミスして怒られるのが怖かったり、あれかなこれかなと思い当たる節はあるけれど。
こんなもんでも私は私。こんなもんなんだから仕方ないじゃない。でも、こんなもんだって悪くないんだよ。
うつになったのはショックだったけれど、今の方が心が楽な面もある。自分の子どもには、「上手にできたって、できなくたって、いい子でも悪い子でも、どんなあなたでも大丈夫だよ!大好きだよ!」と伝え続けていこうと思う。
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