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私はまだ本当の神保町を知らない

ひとりで過ごす時間が出来て、久しぶりに神保町を訪れた。神保町は、私が浪人生だった時代、お茶の水の予備校に通っていた時、息抜きとしてよく訪れていた。もう10年以上前である。

神保町の顔でもあった、三省堂書店を覗いてみたり、神田すずらん通りにある東京堂書店を覗いてみたり、ふらふら神保町の街を歩いていた。

三省堂書店は、少し前に建て替えのニュースを聞いていたので、今回は東京堂書店へ訪れることにした。

東京堂書店は私の好きな本屋さんの一つである。好きな本屋さんも出版不況の折を受けて店がなくなってしまうことも多いが、盛況だった。ただ、本屋に併設されているカフェが閉店していた。当時、そこのカフェの2階のカウンター席ですずらん通りを見ながらコーヒーを飲むのが好きだった。

東京堂書店は、3階まである本屋さんで、1階は雑誌や新書、文庫本そして書店員の方が選んでいるであろう平積みのセレクト図書が並んでいる。平積みされているコーナーは本当にセンスが光っていて、いつ来ても手に取ってしまう本が沢山ある。内容は時事的なものから、小説、哲学、思想的なものまで本当に幅広い。何冊もそこで、背伸びをして本を買ったものだ。

2階、3階に登っていくと、専門書が並んでいる。専門書といっても、料理、音楽、映画などの趣味本も置いてあり、入りづらさを感じさせない。エスカレーターを登って一番最初に目に入るコーナーもテーマを決めた本が取り揃えられている。今日は台湾に関する本が並べられていた。

1階、2階、3階と階を上がるにつれて、人が減っていくのが個人的に好きなところだ。階を上がるごとに、普段本屋さんで見ないような本に出会う確率が上がっていく。より専門的になっていくとも言えるのだが、そういった本を手に取ってパラパラめくると、なんとも言えない知識欲が湧いてくる。

自分の知らない世界があるとそこに足を踏み入れたくなってしまう。手に取る本、全て欲しくなってしまう。残念ながら、時間は有限で全てを読み通すことはできないので、2冊だけ買って帰った。

本の熱に浮かされると、自分の興味は、懐かしの神保町から本の内容に移ってしまう。神保町は、古本の街として知られているが、未だ神保町で古本を買ったことはないし、店先に並んでいる本を横目で見る程度で、じっくりとお店に入ったことはない。そういう意味で、神保町はいつまで経っても自分にとっては、まだ知らない街なのだ。

(3/17追記)
神保町で買った本についてnoteに書いた。こちらも宜しければご覧いただきたい。

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