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私の野球人生③ 「私なんてまだまだ甘かった」

私なんてまだまだ甘かった。

 大学3年の時、私は世界大学野球選手権の日本代表候補に選ばれ、平塚で行われた強化合宿に参加した。
全国の同学年のトップ選手が集まり、私は彼らの実力を肌で感じることになった。有名な選手たちは皆お互いに知り合いで、仲良く話していたが、無名大学の私は話す相手もおらず、場違いな感じがしていた。そんな中、たまたまロッカーで隣になった、今では某球団のエースとして活躍している選手が私にも話しかけてくれ、とても優しく接してくれた。

 そして私は自信を持って紅白戦に臨んだものの、結果は散々だった。なかなかアウトを取ることができず、あっという間に6失点。自分とトップ選手たちとの力の差を痛感した。「もしかしたら、このまま順調にいけばプロに行けるかもしれない」と少し天狗になっていた自分が、完全に打ちのめされた瞬間だった。

「自分はまだまだ甘かったんだ」

 彼らこそがプロに行く選手なんだと実感した。結局、代表には選ばれずに帰ることになったが、それが逆に良かったのかもしれない。目指すべき目標が明確になり、プロのレベルがリアルに想像できるようになったからだ。それまでは、プロの世界というのが漠然としたものだったのが、どれほどのレベルが必要かを肌で感じることができた。

 その後の秋のリーグ戦でもベストナインに選ばれ、社会人野球の練習にも参加し、順調に成長していた。
しかし、秋の全国大会をかけた決定戦を目前に肩を痛めてしまった。痛みを誤魔化しながら投げ続けた結果、自分の投げ方すら見失い、4年生になってもその感覚を取り戻すことができず、全国大会に出場することなく、社会人野球への道も断たれてしまった。

 それでもプロへの道を諦めきれず、硬式野球を続けられる場所を探し続けた。
唯一続けられる場所が独立リーグだった。肩が治りさえすれば、まだまだやれるという根拠のない自信があった。ストレートの球速は140キロから130キロに落ちていたが、大学最後のリーグ戦でノーヒットノーランを達成し、独立リーグなら自分にも通用するだろうと思っていた。しかし、それは完全な過信だった。

続く:私の野球人生④(自分が下手だと気づいた時は伸びている時だ)

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