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  • 私の野球人生(プロ編)

    私のプロでの話をまとめました

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最近の記事

私の野球人生⑨「運命のドラフト会議」

新しい人生の扉が開いた  入団テストの合格者で指名を受けたのは私ともう1人、あと1人は呼ばれなかった。 ドラフト当日、指名があるかもしれないと球団事務所には地元のテレビ局のカメラや記者が数人来ていて、記者会見の準備もされていた。本指名が終わり育成指名の番になっても私はなかなか呼ばれず、気まずい雰囲気が流れていた。私も「やっぱりダメか」と半分諦めながらテレビを見ていた。他の球団が全て指名を終了し、入団テストを受けた球団の指名が6位、7位と続いていくので「あれ?まだあるのか」と

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    • 私の野球人生⑧「入団テスト」

      人生を変えた入団テスト コロンビアから帰国した私は、「今年一年で結果を残し、絶対にプロに行くんだ」という強い思いを抱いていた。しかし、その前に片付けなければならないことがいくつかあった。3か月も動かしていなかったため、エンジンがかからなくなった車の修理や、球団の紹介で住んでいたアパートの3か月分の家賃支払い、その他もろもろで、コロンビアで稼いだお金は一瞬で消えてしまった。そしてもちろん、その後の生活費や支払いも消えるわけではない。シーズン中に野球に集中するためにも、球団に立

      • 私の野球人生⑦「コロンビアの野球」

        異国での野球  私たちが試合に出たのは、コロンビアに到着してから4日ほど経った頃だった。まずはマイナーリーグ経験のある先輩が登板し、まずまずの結果を残した。次の試合では私と同級生が登板。ボールの違いや準備の仕方に戸惑いはあったが、なんとか投げ切ることができた。同級生は思い通りのピッチングができなかった。  その後も私は結果を残し、先発としてローテーションに加わることになった。するとチームメイトも受け入れ始め、コミュニケーションも上手く取れるようになってきた。言葉を覚えるの

        • 私の野球人生⑥「コロンビアでの生活」

          文化の違い  なんとかコロンビアに到着した私たちは、これから3ヶ月間住むアパートへ向かった。コロンビアの選手以外は皆同じアパートに住み、メキシコやドミニカの選手、中にはアメリカのマイナーリーグ3Aでプレーしている選手もいた。日本人の私たち3人は同じ部屋に割り当てられ、3ヶ月間共に暮らすことになった。野球よりも、この共同生活が大変だったかもしれない。  予定より1日遅れで到着した私たちは、アパートに荷物を置くや否や、すでにチーム練習が始まっている球場へ向かった。しかし、コロ

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          私の野球人生⑤「コロンビアでの3ヶ月」

          コロンビアに行くのも大変  独立リーグの一年目が終わり、私はコロンビアに行くことになった。人生で初めてパスポートを取得しに行き、手取り約十万円の独立リーグの給料から見るとパスポートの発行手数料は高い出費だった。さらに、コロンビアへの航空券も球団に立て替えてもらっており、3か月の遠征中も家賃や光熱費がかかる。ほぼ貯金がない私には、現実から逃げたくなる気持ちが芽生えたが、コロンビアでの報酬は月15万円で、住まいや移動費は球団が負担してくれるとのこと。かかるのは食費だけだから、何

          私の野球人生⑤「コロンビアでの3ヶ月」

          私の野球人生④「自分が下手だと気づいた時は伸びている時だ」

          本当に下手な時は自分が下手なこともわからない。それに気づくのは上達してきたから。 大学を卒業後、私は独立リーグに入団し、地元の大学出身ということもあって開幕戦で開幕投手を務めた。5回を投げ、勝ちは付かなかったが、試合を作るピッチングはできた。社会人やプロを目指していた自分にとって、この程度のピッチングは当たり前だと思っていた。 しかし、当時の監督やGM兼選手をしていた、メジャー経験もある元プロの方たちに「お前なんてまだまだ下手くそだ」と言われた。その言葉の意味を理解するの

          私の野球人生④「自分が下手だと気づいた時は伸びている時だ」

          私の野球人生③ 「私なんてまだまだ甘かった」

          私なんてまだまだ甘かった。  大学3年の時、私は世界大学野球選手権の日本代表候補に選ばれ、平塚で行われた強化合宿に参加した。 全国の同学年のトップ選手が集まり、私は彼らの実力を肌で感じることになった。有名な選手たちは皆お互いに知り合いで、仲良く話していたが、無名大学の私は話す相手もおらず、場違いな感じがしていた。そんな中、たまたまロッカーで隣になった、今では某球団のエースとして活躍している選手が私にも話しかけてくれ、とても優しく接してくれた。  そして私は自信を持って紅白

          私の野球人生③ 「私なんてまだまだ甘かった」

          私の野球人生②「君は絶対にプロに行けるから」

          「君は絶対にプロに行けるから」  高校野球では甲子園に行けず、チームメイトの中で私以外に野球を続ける者はいなかった。しかし、私は野球が楽しく、辞めるという選択肢は考えられなかった。ただ、4人兄弟の末っ子であることから、親に負担をかけたくないという思いもあった。子供の頃には、よく東京ドームで都市対抗野球を観戦しており、社会人野球に対する憧れもあった。 そんな時、特待生として私を迎えたいと言ってくれる大学が現れた。その大学は地方にあり、東京から出たことのない私にとって縁もゆか

          私の野球人生②「君は絶対にプロに行けるから」

          私の野球人生①「育成指名から一軍のマウンドに上がるまで」

          育成指名から一軍のマウンドに上がるまで  私が育成指名を受けたのは、すでに21時を過ぎていた頃。地上波でのドラフト中継はとうに終わっていて、正直言ってプロから声がかかるなんて夢にも思っていなかった。中学時代はレギュラーではなく、ピッチャーとしても試合でほとんど投げることはなかったからだ。  野球を始めたのは兄の影響で、兄がアンダースローで投げていたため、ピッチャーとはそういうものだと思っていた。兄が所属していた地元の強豪チームに私も入ったが、レギュラーにはなれず補欠の野手

          私の野球人生①「育成指名から一軍のマウンドに上がるまで」

          ゴルフから野球のピッチングに活かせるコントロールに関する気づき(2)

          ・スライダーのリリースと軌道 右利きの投手がスライダーを投げる場合、リリースポイントでボールが指から離れた瞬間、ボールは体より右側に出ないという点が重要である。リリースポイントからキャッチャーに向かって一直線に進み、そこからボールが横にスライドしていく。このときの直線的な進行は、ボールのスピンと空気抵抗がバランスしている状態だ。一定距離を進んだ後、ボールがスピンによって軌道を変え、キャッチャーの構えた位置に向かって横に曲がる。 この軌道は、初めはまっすぐ進むけれど、最終的に

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          ゴルフから野球のピッチングに活かせるコントロールに関する気づき(2)

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          ゴルフから野球のピッチングに活かせるコントロールに関する気づき(1)

          ゴルフと野球のピッチングにはいくつか共通点があり、それらを意識すると野球のコントロールにも役立つかもしれない。 ・体重移動のスムーズさ ゴルフでは、スイング中の体重移動がスムーズであることが正確なショットに繋がる。同様に、野球のピッチングでも、体重移動をスムーズに行うことで、投球のバランスが取れ、コントロールが安定する。特に下半身から上半身へのスムーズなエネルギーの伝達が、投げるボールのコントロールに直結する。 ・リリースポイントの一貫性 ゴルフのスイングでは、クラブのフ

          ゴルフから野球のピッチングに活かせるコントロールに関する気づき(1)

          後悔

          私は小さい頃からの夢を叶えた。しかしその夢はたったの2年で終わってしまった。その世界はそう甘くはなかった。 あの時痛いと言えていれば、痛くなる前に気づいていれば、背番号が3桁になってでもあの世界にしがみついてればよかった。前に進むことしか考えれなかった。常に結果を出さなければその世界にいられなくなると思っていた。止まってしまったらもうその世界にはいられなくなると。止まってもよかったのかもしれない。後ろに下がったってよかったのかもしれない。 夢を追いかけてる時はどんなに苦しく

          後悔

          夢を実現させるためには、自分がなりたい姿をリアルに想像することが大事である。そして夢へと導く人間はその子にリアルにその姿を想像させてあげることが大事である。 若い子達はそれぞれに夢を描いているが、その世界が実際はどんなものなのか、自分がどうすればなれるのかリアルに想像できていないことがほとんどである。なんとなく思い描いていても夢を叶えるのは難しいだろう。 身近に同じ夢を持った人間がその世界に飛び込んでいったり、その世界を経験した人間、経験している人間に出会い、自分がその世