『ホモ・デウス(上・下)』ユヴァル・ノア・ハラリの感想


サピエンス全史を読んでいた知り合いがいて、その子がユヴァル・ノア・ハラリの著作が好きと言っていた。
私も興味があったので聞いていると、貴方は現代の方への興味が強いなら、『ホモ・デウス』が読みやすいかもよと勧めてくれたのだ。
そんなこんなでいつか読もうと思っていたのだが、うつで脳がバグってる間はこの分厚い著作を読める気がしなかった。
しかし、正常に近い時間が伸びている今なら読めるような気がした。
というわけでトライ。
案外読める。
というか、厚いけど読みやすいかも。
ベストセラーになるには、難しすぎて読めないと意味無いもんな。
案外風刺もきいてて、現代の科学の話からSF的な世界観に向かっていくのが面白い著作だった。
荒唐無稽とは言わないし、今の技術進歩をみていると、有り得そうな気もする。
アルゴリズムに支配され、いつの間にか完全に人を超越したらソレらは我々の思い描いたはるか先を目指して独りでに走りだす。

知識と経験が噛み合った時に、それが一つ、確かなものとして人間の中に落ちてくると言うのは、私も感じるなと思った。
文字の羅列をなぞって知識をつけるだけでもできるようになればいいのに。
それがある意味超人となっていくのかも知れない。

というか、YouTube動画切り抜きとか、どっかで見た話だなみたいなの多いな。
みんなこういうとっから持ってきてんだね。
良く知ってんな~と思ってたけど、私が本を読まなすぎるからか。

アルゴリズムに、この言う事聞かずの肉体を任せたくなる気持ちは非常にある。
私が健康で幸福であるための最短最適方法を私に教えてくれるAIがいれば、私はそのこの言う通りにするだろう。
何故ならそれが一番幸せで、選択するという大きなタスクを捨てることが出来るから。
既に、エビデンスのある抗鬱薬に脳をコントロールさせる事で、正気を保っている人間なので、明け渡すのはあっという間だろう。
彼等は私がなんの不信も持たなくて良いように、リスクまで加味したうえでエビデンスに基づいて最善の方法を提供してくれ、根拠まで説明までしてくれるだろう。
スマートウォッチで、健康状態をモニタリングしながら生活するのが日常に溶け込んでくる時代だ。
それがより精密に、隅々まで広がっていくのは時間の問題だと思う。
今だって、困ったらすぐグーグルさんにきくのだから。

それとは別にしても、私達が生きている間にそこまでの大躍進があるのかという疑問はある。
先の未来でそうなっていくかも知れないが、精々端末と情報の精度が上がり、普及率が上がる程度で、そこまで人間の動きを合理的にコントロール出来るのかは疑問だ。
人間社会は不合理なことが起きがちだ。
それさえも加味してアルゴリズムが演算するならそれはすごい世界だな。

人の世界はどんどん便利になり、一部の特殊な技能を持つ人間以外は社会の維持のために不要になっていく。
私もそこから弾き出される人間の一人だ。
進歩した先どころか、いま現在、弾き出されているので笑えないのだが。
でも、別にいい気もする。
社会がそうなっていくのなら、もうそれは仕方ないという、諦めたような達観したような。
人類全体を包む謎の焦燥感。
人間の進歩は止まれないだろうから。
それから弾き出されるなら、端から様子を見守っているしか無い。
できれば衣食住くらいは保証してほしいなという所だ。
先の未来の超人か、優秀なアルゴリズムが多様性のために不要になった旧人類の保護政策をやってくれることを祈るのみだな。


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