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第88回 「未来を考えるワークショップ」(日本総研)

 第88回は「未来洞察と未来デザイン・ラボの活動紹介」ということで日本総研の方にお話しいただきました。
 未来デザイン・ラボは日本総研の中でも未来を考えることに特化したチームです。イノベーションを起こしていこう!と新規事業の種を探るところから始まり、企業向けに組織改革のサポートをされたりしていましたが、もっといろんな人が未来を考える機会があってもいいのではないか、人の可能性を広げて自由に生きるための未来デザインがあってもいい、と企業向けではない活動にも力を入れておられるそうです。若い人の中には未来を暗いもの、希望のもてないものと考えいる人が多く、そんな人たちが未来洞察をすることで、暗いだけではない未来に気づき、様々な可能性の中で自分が創りたい未来を考えることができることを知ってもらいたいという思いで取り組まれています。実践例として、探究学習で福島の未来を考えるワークを実施し、カルタ制作を行ったり、未来洞察に取り組む企業と高校生が「自分の好き」と「思ってもみなかった未来」を考えることで自分の知らなかった将来の姿をイメージする未来冒険キャンプや小学生が起こりうる未来について工作で表現する活動、VRで未来洞察、などがあります。
 未来洞察のためには気づきが大切で、未来の見立てが変わる体験があるということが未来洞察のポイントになります。未来には複数の可能性が広がっており、その複数の未来を考えることが未来学や未来洞察の特徴だそうです。今回はMiroを使って、小さな兆しからの気づき、ありうる未来について考える手法を紹介していただきました。その刺激剤として「スキャニングマテリアル」をたくさん準備していただき、それを参考に議論しました。例えば「85歳のおばあちゃんがVTuberデビュー」のスキャニングマテリアルでもう一つの高齢化社会を探るなど、様々な未来の兆しを取り込んで未来の可能性を考えました。
※未来洞察について分かりやすい絵本の紹介・・・『それしかないはずないでしょう』(白泉社)

― 質疑応答 ―
・高校生が未来洞察に取り組む場合、費用と時間はどうなるか。→費用はかからない。高校生の探究学習は1.5日程度。
・小学生に考えさせようとするとつまずいてしまう。もっとスケールの大きなことを考えてもいいのにと思うがなかなか殻を破れていない気がする。どんな声かけをすればいいのか。→工作、写真の多用など、イメージベースの言葉に頼らない表現も模索している。

― 以下議論(スキャニング体験で話し合った内容、感想など) ―
・「最短距離ではなく、車内体験を楽しむナビ」について、地理総合で利用できないか。カーナビは最短距離や最短時間で到着するために利用されているが、「目的地に辿り着くためにあなたならどのルートを設定しますか?その際、最短距離ではなく、ナビ使用者の幸福度がアップするルートを考えること」という問いで生徒に考えさせることができる。GISの発達によって地図上にピンをたてるなど、高校生にも取り組める課題になるのではないか。
・カードにあるものは現実に起きていること。30年前にはこんなことを考えていたのか、ということも気になる。未来だけではなく、過去を考察することも大切。自由な発想もしてほしいが地に足がついたものも。
・タブレットだとMiroはさらに使いやすい。授業で使えそう。
・「コツは電気信号で体得する」について、体内に電気信号が送られることで、弓道やウェイトリフティングなど効率よく技術を上げられる未来があるかもしれないが、コツコツ積み上げていく苦労や面白さはどうなるのだろう。
・「街の木々の状況を見える化して、市民が“適切な”水やりをする」では家庭に植物栽培できるスペースがなく、植物と触れあう機会がない人に喜ばれるかもしれない。ただ、木が枯れてしまうとズボラな人が多い街、植物が豊かだと勤勉な人の街、など市民性みたいなものが判断されるとおそろしい。
・Miroはみんなで意見を出し合って、話し合えるよいツール
・子どもたちだけでなく、地域の人を交えてワークショップをすると、子どもたちはどうかわっていくのか。地域の人が混ざることに注意点はあるか。→地域の歴史や課題に対して、子どもたちの創造的な解釈で代替的な未来を探るというふうにすればマッチするのではないか。VRやお面をつけて行うなど、年齢や肩書きを超えて共にワークショップができるとよい。
・今回のMiroの体験で選択肢が示されていることでありそうな未来を提示できる。空想でもまったく根拠がないわけではなく、現実的なもののどこかに結びついているというのがよかった。
・他者の考え方の中に自分の新しい学びが創り出されている。デザインの中に学びがあった。

参加者 18名


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