必 然 ( 詩作・SS )
「いつかの兄弟が流した涙は、星になったんだ」
悲しいの?
ううん、わたしはね、嬉しいの。
悲しくないの。
だってほら、こんなにもあたたかい。
星はね、温もりで溶けていくの。
あたたかい雫になるの。
ときに遠すぎて
届かなくて、
ときに近すぎて
動けなくて、
ときに眩しくて
見えなくなった。
そんな兄弟は、ある約束をしたのでした。
______それから幾時代が過ぎたのだろうか。
今やLEDが星になろうとする時代、
わたしはこんな手記を書いている。
________
星に距離って関係ないの。
だって、見えてるから。
光は見えてるから。
何十光年離れていようと、
見ている景色は同じだよ。
この宇宙は繋がってるんだ。
地球が生まれる前の光だって、この目に届いてるんだよ?
諦めてないの
諦めてないから、
光を諦めないでいて。
######そんなとき、警鐘つんざくこの夜です。
『ニュースをお伝えします。
本日の宇宙予報、milky wayが降り注ぐでしょう』
至急避難?
雨あられがなんだ、
雷がなんだ、
隕石だ?
彗星がなんだ、
この惑星(ほし)で出会えたじゃないか。
だから、負けないよ。
____________
なに、早いもので
書きなぐった手記も残り1ページらしい。
最後に、こんな昔話も書いておこう。
詳しいことはわからないのだけど、随分古い昔話だそうだ。
___________
それは、澄んだ夜でした。
オーロラに揺れる針葉樹。
針葉樹が影を落とそうと、なにも怖くなかった。
それは月のカーペットが導いてくれるから。
いつまでも星空を見上げる二人の影は楽しそうです。
祝福する星々も、きらりきらりと笑っています。
「いつかの姫と騎士が見上げた夜空は、今も瞬いているよ」
fin
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