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統合失調症になった親友⑤ 幻聴の内容を当事者が語る

親友Aが退院した。
①薬を毎日飲むこと
②看護師が定期的に訪問

病院から出た指示はこれだけだった。入院中に私が生活保護を受ける為に生活課の職員と病院のスタッフをつなぎ無事に受給できるようになった。

退院後の親友Aは恐らく精神病と言われても誰も信じないほど以前と同じだった。私は毎日のように、

「お前と同じ病気の人はたくさんいる。大事なのは薬を飲むこと。頼むから薬は絶対飲んでくれ」

親友Aはわかったわかったと笑いながら同意した。

幻聴は全く無くなったらしい、聞こえてた時の話を親友Aはしてくれた。

「ミケから餌を増やしてくれとか今のケージは狭いとか言われた」

「年配の男が色々なアドバイスをくれた。クリーニング屋の中の椅子に座ってれば店員が2億くれると言われたから一時間ぐらいクリーニング屋の中にいた」

「◯◯パチンコ屋の交換所に11時に行け。箱の中から100万円の束が5分おきに出ると言われたから何回も箱の中を覗いた。

「コンビニのタバコはいつでも吸ってもいいように俺が話を通しといたと言われたから堂々と店員がいるレジの中に入ってタバコを取った」

次々出てくるエピソードをとても楽しそうに話すAと2人で大爆笑しながら幻聴の話し肴に酒を飲んだ。

「あの世界結構楽しいんだ」

まだ私は気づいてなかった。

親友Aは薬を退院して全く飲んでなかったことを。

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