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統合失調症になった親友④罪を犯した時の記憶

精神病院に入院した親友Aは「統合失調症」の診断を受けた。当時23歳だった私はその病気を知らなかった。ずっと入院するのだろうと思ったらそうでは無かった。

数ヶ月すると親友Aから電話がかかってきた。今は鍵もかけず申請すれば自由に外出できる病棟にいるから来て欲しいという事だった。

病院に行くまではなんとも言えない緊張感があったが久しぶりに会う親友Aは少し太って病院の外で立て続けにタバコを吸う以外は私の知る親友Aのままだった。

思い切って聞いてみた。

「お前警察に捕まった時のこと覚えてる?」

親友Aは笑いながら

「覚えてるよ。なんか頭の中で声が聞こえて○○ホテルの1206号室に入ったら1億円もらえるとか、この家に入れとか言われた笑。あとここのコンビニはタバコ無料でくれるとか。すごくない?絶対そんな事ないのにね。」

少しほっとした。記憶、自覚があるということに。人格が残っている事に。

これならまた以前のように戻れるかな。
しかし現実は甘くなかった。

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