君に届かない【青ブラ文学部】【ショートショート】
第二外国語はドイツ語を選択した。深い理由はない。好きなサッカー選手がドイツ人だったからだ。授業を受け持ったのはドイツ人女性のハンナ先生だった。
「ドイツでは男女平等の認識が高くて、様々な分野で女性が活躍しています。ドイツを代表するメルケル前首相も誕生しましたね」
授業の初めに時事ネタを話すのが通例だった。
「ジェンダー問題で想いが届かず苦しんでいる人たちがたくさんいます。最近はようやく日本でもジェンダーレスが認知されてきましたね」
今日はジェンダー問題か。
「日本の小学校では男子はキャップ型、女子はハット型の帽子をかぶるところがあるようです。トランスジェンダーの方への配慮からデザインを統一する動きもあるようです。頭にかぶる帽子は男女に関係なく自由でありたいですね」
あまり気にしていなかったけど、今はそういうところにも気を使う必要があるんだな。
「それでは『帽子をかぶる』をドイツ語に訳してください」
指名された俺は黒板の前に立ち板書した。
「間違ってますよ。Hut は男性名詞です。頭にある Eine は女性名詞の冠詞です。正しくは『 Einen Hut tragen 』になります」
ん?ジェンダー?
(おわり)
学生時代、第二外国語は必須ではありませんでしたので、ドイツ語は学んでいません。ググって翻訳しただけですのでドイツ語は間違っているかもしれません。
お題の「君に届かない」からジェンダー問題を連想して、オチが先に思い浮かんで、勢いで書いてしまいました。
山根あきらさんの企画に参加しています。お題の「君に届かない」でショートショートにして投稿しました。
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