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飛行機とツーリング

 台風が来るとはいうが、そんな状況下でも平社員は文句を言わずに出勤しなければならない訳で、昨日の夜はめんどくさいと思っていたのだが、今日になってみると思ったより酷いことにはなっていなかった。かといって仕事中に窓の外を見てみると土砂降りになっていたり、また少しして見てみると弱くなったり止んでいたりと、どうも不思議な気候である。洗濯物が干せないので早く収まってほしいところである。

 先日の日曜日に、ふと思い立ってバイクに乗った。私の中では今もバイクに乗るという行為は特別感があり、翻って怖いと感じてしまうところがある。しかし、乗らなければそれを払拭することはできない。

 とはいえ、もしかするとバイクに乗るに際して、私にとって一番面倒なのは、バイクを駐輪場から出すことなのかもしれない。私がバイクを停めている駐輪場は、狭い上に横に車が止まっているので、ぶつけないようにしながら少しずつ出しつつ、頭から入れている関係で逆向きになっている車体を方向転換しなければならない。これが実に面倒である。ちょっとずつ向きを変えて、やっと真っ直ぐに戻した時には、もうこの時点で汗だくであり、これから運転するのか、と少しげんなりもした。ただ、逆にここまでやったのだからと乗る気にもなる。気分とは難しいものである。

 いざ発進し公道に出る訳だが、やはり何度やっても公道は緊張してしまう。今回はペイズリー・パークことGoogleマップの設定をしっかり確認し、車用の案内になっていることを把握してから走り出したのだが、それでも曲がる時など、案内上は左折できると言っていても、他に曲がる車がいないと不安になってしまう。結果、他の車に合わせて右折して、遠回りをしたりすることもあった。

 しかし、しばらく走っているとだんだん慣れてくるもので、最初こそ無事に帰れるだろうかなんておっかないことを考えていたが、途中からは先日観た映画『ラストマイル』の内容に想いを馳せるくらいの余裕ができた。主題歌の「がらくた」を聞きながら走っていたこともあるだろう。良い映画だったのでおすすめである。

 時間帯もよく、15時くらいに出発したのだが、日差しが強い訳でもなく、極端に寒い訳でもない、丁度良い感じの気候を走ることができ、非常に良かったと言える。途中に高速道路ではないと注意書きがあるにも関わらず、看板上は70kmを出しても良いという道路があり、周囲に車が少ないからと猛スピードを出したところ、非常に爽快だった。それくらいには過ごしやすい気候だったのである。

 しかし、スピードを出すのは楽しいが、同時に恐怖も感じる。教習所では40kmで急制動などをやった訳だが、それだってまあまあのスピードで怖いと思うこともあった。だというのに、公道を走っていると、周囲の車や標識の影響か、どんどんスピードを上げてしまい、50km、60kmを出してしまう。それが法定速度であるということを考えても、それだけのスピードに慣れてしまっている、出していても気にしないという状態が、内心怖かったりする。バイクを運転する主観の目線でみると、そんなにスピードが出ていないように見えてしまうというのもあるだろう。

 どうあれ、事故には気をつけなければならない。どれだけ暑かろうと、私はプロテクターをつける所存であるが、それが活躍するようなことにならない方が良いに決まっている。安全運転を心がけたい。

 今回向かった目的地は、飛行機が見える場所とのことで、ツーリングスポットとされているところである。実際、私が行った時にもバイクが何台か停まっていた。別に飛行機が好きという訳ではないのだが、家から片道1時間くらいの丁度良い距離のところにあったのがそこだったのである。

 現地についたはいいものの、飛行機が見たい訳ではなかったので、少し休憩し、ついでに頭上を飛ぶ飛行機の写真撮ろうとしたのだが、これが中々難しい。私は上を見上げることが怖いという、いわゆる低所恐怖症と呼ばれるものを持っていて、そんな身からすると飛行機を見上げるのが怖くて仕方ないのである。そんな重症ではないので、生活に苦労をする訳ではないのだが、ビル街の建物を見上げたりとか、夢の国の落下するエレベーターの施設を見上げたりとか、そういう時に恐怖を感じてしまう。今回もそれに該当してしまったようで、震えながら写真を撮った。まごうことなき不審者である。

震えながら撮った写真
肝心の飛行機がセンターにきていないが、今みるとこれはこれで悪くないような気もする

 写真を撮り、休憩をしてから、さて帰ろうとバイクに乗って走り出したはいいものの、ここでペイズリー・パークの悪癖が出た。行きと帰りのルートが違う。いつか同じようなことをされて困ったので、勘弁してくれと思ったが、言ったところで聞いてくれる訳ではないので諦めるしかない。行きで走った高速道路ではない70km出せる道路をまた走りたかったのだが。

 ただ、今回のルートもなんだかんだで悪いものではなかった。途中一方通行に間違えて突っ込んでしまい、バックしなければならないという事態になったものの、今度は土手沿いの道を走るルートで、丁度夕方だったこともあり、非常に新鮮だった。こういう時に、走っている景色の写真が撮りたくなるが、運転中はスマホを出す訳にもいかない。いわゆるGo Proだっただろうか、アクションカメラというものが存在する理由がわかる。

 先の通り一方通行を逆走しそうになったものの、無事帰宅し、駐車場までたどり着いた。しかし、ここで大きな問題が発生した。駐輪場に入れない。といっても、車が道を塞いでいるとかではない。私の家の駐輪場の入り口は斜面になっているのだが、駐輪場の契約した際に敷地内でエンジンを回してはいけないという約定をしている為、入り口でエンジンを切った結果、中途半端に斜面の途中で止まってしまったのだ。押しても前に進まず、下がることもままならない。

 どうしたものかと思い、とりあえずスタンドを立てて自分は立とうとした結果、バランスを崩して右に倒れてしまった。引き起こそうとしても、斜面の関係でどうもうまくいかない。しかも、足元が砂利なせいで、やればやるほどガリガリと車体を削る音が聞こえてきて怖くなる。打つ手がなくなり、どうしようかと途方にくれてしまった。

 そこに救世主が現れた。通りがかりのチャリに乗ったお兄さんである。私をみると自転車を止め、手伝いましょうかと声をかけてくれたのである。一も二もなく協力を依頼し、2人がかりでなんとか引き起こすことができた。しかも「ninjaを1人で引き起こしは難しいですよね」というので聞いてみたところ、なんとこの人バイク乗りで、以前ninjaに乗っていたのだという。つまり、通りすがりの先輩ライダーのおかげで事なきを得られたのだ。感謝しかない。その場でも頭を下げたが、この場を借りて再度御礼を申し上げる。

 残念ながら少し車体に傷がつき、コーティングが削れてしまったが、形あるモノいつかは壊れるものであるし、初めて買ったバイクがキズ一つなく天寿を真っ当するとは思っていない。キズがある分、それだけ共に走ったのだという風に考えることにする。今回のキズはそういうキズではないけれど。

 加えてもう一つトラブルがあった。運転中も姿勢が悪かったのか、右手首と左手首がめちゃくちゃ痛いのである。特に手のひらを返すような動きをすると、小指側の手首側面に、引っ張られるような痛みが生じる。バイクに乗ってから5日程経っているが、多少引いたとはいえこの文章を書いている今も痛みがある。

 調べたところ、上半身が固い状態だと、凹凸のある地面を走る際の衝撃などが手首に直撃し、腱鞘炎のような状態になることがあるという。これを避けるにはニーグリップなどをしっかりして、上半身に力が入らないようにするのが良いらしい。確かに、今回走った道路は要所要所で凹凸が多く、思わず「オウッ」と言ってしまう程の衝撃に見舞われたこともあった。いままでこういうことがなかったので甘く見ていたが、今後は気をつけなければならない。

 直近は台風もあるし、先の通り手首の痛みも引いていない為、今週中にまた乗るということはできないだろう。しかし、やはりバイクに乗るのは楽しいものである。出発するまでは面倒なところがあったり、不安だったりがあるが、走り出してしまえば何のことはない。次にどこに行くかはまだ決めていないが、また片道1時間くらいのスポットを探してもいいし、また同じ場所に行ってもいい。バイクに乗るのが目的なので、あまり目的地にこだわりはないのだ。今回走ったルートは結構楽しかったので、そうでなくてもまた行くかもしれない。活動範囲を広げていきたい、そんな所存である。

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