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やりたいこと、できること、求められていること

 以下のような図がある。

 SNSなどでよく見る画像を、うろ覚えのままパワーポイントで再現した10分クオリティであるが、概ねこういった形であっているはずである。

 仕事についての理想像を示したものである。「やりたいこと」「できること」「求められていること」の3つの要素全てが重なりあう星の箇所に該当する仕事を行えることが理想、ということだ。

 「やりたいこと」とは、個人の理想的な仕事を指す。いわば子供の頃に思い描いた将来の夢のようなもので、パイロットだったり、俳優だったり、花形とも言える仕事だ。余談だが、最近の子供に将来就きたい仕事を聞くと、公務員がかなり上位にくるという。夢を見るより現実を見なければならないということだろう。子供ですら夢を見る人が少なくなり、お先真っ暗な時世を反映しているようで少し寂しい。

 「できること」とは、自分にとってこなせる内容を指す。何事もにも結果が必要な訳で、であるならばやりたいだけでは意味がない。自分としては好きではないが、ある程度はできてしまうことであり、世の中の大半はこの枠に入ることをしている人が多いと思う。

 「求められていること」とは、周囲からの需要である。如何に自分がやりたいことで、かつ成果をおさめられたとしても、それに対して価値を見出して金を払ってくれる人がいなければ仕事として成り立たない。必要とされているかどうか、社会が価値を認めてくれるかどうかということである。

 これら3つが重なっていることが理想である、とは先に述べた通りだが、その通りの仕事ができている人が果たしてどれだけいることか。これもまたSNSでみたものだが、「やりたいこと」が飛び抜けていて、「できること」が小さく、「求められていること」がぼやけており、それらがほとんど重なっていないという画像に多くの反響がついていた。多くの人の心情を代弁しているということであろうし、私もそう思う一人である。

 夢と現実、理想と実際というように、なかなかどうして仕事というのはままならない。「やりたいこと」は漠然とあるのに、そこに手をかけることすらできないのが実情である。大体の場合において、それは何もやってこなかったからだろうという回答が飛んで来て、何も言えずに撃沈してしまうのだが。常々就活の場でも言っている通り、やる気だけでは意味がないということである。

 現在私は経理をやっていて、それがもう3年続いている。友人の中では数字を見ているだけで頭が痛くなって嫌になるという人もいる中で、一日中見ていてもめんどくせーとはなりつつ投げ出したりはしないので、多少なりとも数字に対する許容度は高いのだと思う。経理を突き詰めれば税理士、会計士に繋がっていき、求めれば海外でも活躍できる可能性もある。社会人に必要な3つのスキルとしてあげられる、英語、IT、簿記の内の一角であるということも大きい。

 世間で一般とされるスキルのうちの一つに適性があったということは、おそらく大きなアドバンテージだと思う。だが、それでいいのだろうか。今だからこそできる、何か大きなことをやるべきなのではないだろうか。ずっとそんな思いを抱えつつ、その「やりたいこと」がわからないまま、そして挑む勇気もないまま、毎日を過ごしている。『kick back』のように「良い子でいたい」が、「そりゃつまらない」とわかっているのだ。

 

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