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しりとりと

父の命日に、姉一家とお墓参りに行った。

姉には、小さな子が二人いる。
小さな、と思っていたけれど、久しぶりに会うと、結構大きくなっていた。
上の子に背を抜かれるのも、時間の問題だ。

車で移動しながら、しりとりをする。
しりとり、りす、すいか。
子どもの声は大きくて、高くて、ぽんぽんと弾む。かわいくて、なんだかちょっと、泣きたくなる。

父が亡くなったとき、上の子は生まれたばかりだったから、二人ともおじいちゃんのことは写真でしか見たことがない。
写真では決して笑わない人だったから、不利だなあ。
笑顔の優しい人だったのに。

姉の下の子は、なぜか私にそっくりだ。
見た目だけでなく、発言とか仕草が似ているらしい。
父は二女の私に大甘だったから、生きていたら、孫にもメロメロだったろう。
そんな姿も、見てみたかった。

早く亡くなった人はいつまでも若いままで、思い出すのは良いことばかりだ。
でも、多少波風があっても、長生きしてほしかったなと思う。

せめて、まだ元気な母のことを大切にしないと。日々の雑事に埋もれて、つい忘れてしまいがちだけれど。
父の命日は、母のことを思い出す日でもある。

花散らしの雨のなか、そんなことを思った1日だった。

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