大人になったら

こどものころ、私のまわりの大人は、いろいろな技術をもっていた。

年の瀬に祖母の家に行くと、叔父が山から竹を切ってきて、門松を作ってくれた。
余った竹で鉄砲をつくってもらい、いとこと遊んだ。弾にするのは、「ぐ玉」という、瑠璃色の小さなまんまるの実で、祖母の家のまわりでたくさんとれた。

祖母は、お正月に着る着物を、小さい私に合わせて仕立ててくれた。
母は洋裁が得意で、こどものころ私が着ていた服は、ほとんど母の手作りだった。

私は、自分も大人になったら、まわりの大人みたいにいろいろなことができるようになるのだろうと思っていた。

それで年だけとったけれど、全然何もできるようになっていない。
覚えないと、何もできるようにならないのかと、当たり前のことに今さら気がつく。

大人って、自然になるものじゃないんだな。
今さら遅いかもしれないけれど、少しずつ、技術と呼べるものを身に付けていきたいな。

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