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中国と台湾における経済思想の違いと貿易関係の変化

第二次世界大戦中の1944年、
国際経済と金融に関する戦後の枠組み

「ブレトン=ウッズ体制」が
アメリカ主導で話し合われていました。

[ブレトン=ウッズ体制]
・IBRD(国際復興開発銀行)

 戦争でダメージを受けた国々の復興のため
資金を貸し付ける中所得国向けの機関

 ※低開発国(最貧国)に資金を貸し付ける
  1960年設立のIDA(国際開発協会)と合わせた
  2つの機関を世界銀行と呼ぶ

・IMF(国際通貨基金)
 貿易を含む国際的な収支が赤字の国々が
 軍備拡大(戦争)に走らないように、
資金を貸したり為替の調整を行う機関

・GATT(関税と貿易に関する一般協定)
 穀物と工業生産など国際分業を促進する
 「もちつもたれつ」な利益創出と、
関税率の引き下げと制限撤廃の自由貿易協定。
 (1948年にはWHO(世界貿易機関)に変化)

第二次世界大戦後の1947年-1989年、
資本主義のアメリカと
社会主義のソビエト連邦による冷戦を迎えました。


ソビエト連邦は、終戦時に占領していた
ポーランド、ハンガリー、ルーマニアなど
東欧を取り込み、社会主義の経済体制を作りました。

▼社会主義のメリット
階級を壊して、土地や工場などを国有化し、
労働者が同じだけ働き、同じだけ稼ぐ平等な
社会にすれば、富を得られる可能性がある。

▼社会主義のデメリット
「労働をサボる」「ズルしてヤミ販売」などが
発生するため、理念共有にコストがかかるので
内部崩壊の道をたどる可能性がある。 

社会主義の東側諸国は、
国内経済に閉じる自給自足の政策を取り、

資本主義の西側諸国は、
輸入していた製品を自国で生産に切り替え
自国で経済を回す「輸入代替型工業」を達成し、
「輸出志向型工業」で外貨を獲得しました。

この世界を2つに分ける冷戦は、
各国に大きな影響を与えました。

・ドイツ (1948-1990)※東側が社会主義
・中国  (1949-)         ※大陸が社会主義
・朝鮮  (1950-)         ※北側が社会主義
・ベトナム(1955-1975)※北側が社会主義

中国での内戦では、
毛沢東が率いる社会主義の中国共産党
勝利した後、中華人民共和国として
農業や工業の国有化を進めていきました。

蒋介石が率いる資本主義の中国国民党
敗戦した後、台湾に逃げ中華民国を建国し、
アメリカが工業製品を輸入する
経済援助により発展していきました。

2024年現在、
中華民国を国と認めているのは世界で12ヶ国のみ。


中国との国交樹立に伴い、
アメリカや日本など主要国は含まれておりません。

直近の2023年には、
オセアニアに浮かぶナウル共和国が
中国からの莫大な資金援助を求めて、
台湾と断交しています。

ちなみに、国連は中華民国を国と認めておらず
日本も承認していませんが、

日本は、中華民国政府が実効支配している
地域名の「台湾」と貿易関係を維持しています。


台湾の輸出品目(2020年)は、
・電子部品(39.3%)
・情報通信機器(14.2%)
・卑金属及びその製品(7.4%)
・一般機器(6.3%)
・プラスチック、ゴム及びゴム製品(6.2%)

輸出先は主に
中国、ASEAN、北米、香港、欧州、日本など。
輸出入ともに中国が一番の取引先になっています。

中国は台湾を中国の一部と捉えているため、
貿易は行われていますが、

2024年5月31日、
中国政府は、台湾から輸入される化学製品など
合計134品目の関税優遇停止を
6月15日から行うと発表しました。


2024年5月20日に就任したばかりの
民進党の第16代総統 頼清徳(ライチントー)への
圧力だと考えられています。


圧力の理由は、
・台湾が中国に差別的な関税措置を取っている点
・台湾は中国と統一や独立でもない現状維持を
 表明していますが、
 台湾統一を企む習近平政権に対する
 防衛力強化の姿勢を見せている点

過去、
第3代国家主席である江沢民(1993-2003)の
政権化では、領土返還を実現している。
・イギリスから香港返還(1997-)
・ポルトガルからマカオ返還(1999-)

社会主義の中国でありながら、
資本主義の経済を残す「1国2制度」での
返還を実現したように、

第5代国家主席の習近平(2013-)政権でも、
「統一」にこだわることなく、
台湾に歩み寄ることが求められています。

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