広く寂しく孤独な夜に

夜は好きでしょうか。

私は好きなときもあれば、嫌いなときもあります。今は少し嫌いです。

夜闇が私を押しつぶそうとしているように感じるからです。夜空が今は重たい黒にしか見えないからです。

街灯があっても変わりません。むしろ、自分の影がその存在の矮小さを訴えてくるようです。
影が黒く、周りが明るく、その周りはどんどん黒くなっていく。押しつぶされるまでの一瞬の猶予を与えられているように見えます。

押しつぶされまいと、少しあがきたくはなります。しかし、当然どうしようもありません。夜にかなうはずはないのです。審判を待つ敬虔な教徒のように、夜を信奉するしか安息の道はないのかもしれません。

一体味方はいないのか。いたらこんな駄文は書きません。いや、いてもどうせ辛くなるので書きはするのでしょう。

明けない夜はないとほざく輩はいますが、明けるまで耐えきれないから夜は怖いのです。広大な夜が過ぎ去るまでの時間は、狭小な自分には長すぎるのです。

寝て意識を断絶させれば夜は消えてくれる。なかったことになる。そう思ってはいても、何故か逃げることも怖いのです。明けることも怖いからかもしれません。

結局、全部が敵なのかもしれません。
味方がなく、常に敵に追い詰められる。逃げたいけれど逃げた先も辛いから立っているしかない。立っているのも辛いことに変わりはない。ずっと待ち続ける。味方が現れるのを。

味方が現れたことがあったかは記憶に定かではありません。敵の存在を忘れられたことはあったかもしれません。しかし、敵は常にいるのです。立ち向かうことはもう諦めました。敵が押しつぶそうとしてくるのを甘受するしかないのです。


この広く寂しく孤独な夜に、一人薄い街灯に照らされながら、味方を待ちましょう。倒れるまでは。

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