#125 あまんきみこ「きつねのおきゃくさま(4場面):心情メーターで読み解くきつねの葛藤
前回は、3場面の読み取りをしました。
その際、きつねの心情に大きな変化がありました。
ひよこたちと仲良く暮らしたい気持ちの方が、食べたい気持ちよりも上回ったです。
さて4場面では一体どうなるのでしょう。
まずは、3場面までと同じように、4場面を読み取らせ、心情メーターを考えさせます。
この4場面には、新たにおおかみが登場します。
このおおかみの登場によって、チャッくんが若干混乱を招きました。
これまで、食べる側は、きつねのみだったのに、おおかみまで食べる側として登場したからです。
だから、食べたいメーターの指数が一気に9まで上がってしまいました。
これは実際に2年生に授業しても起こり得ることです。
このような誤答は、しっかりと学びに結びつけていきたいところです。
私がもしこの場面の授業をするのであれば、確実に食べたいメーターの指数が髙かった子にまず、発言してもらうようにします。
なぜか?
そうすれば、意見がわれて議論になるからです。
もし、食べたいメーターの指数が髙くなってる子がごく少数しかいなかったら、担任が加勢して討論しちゃいます。
結構もりあがりますよ。
チャッくんは、仲良く暮らしたいメーターも大幅ダウン。
1です。
理由を見ると、おおかみと戦うモードに入ってしまって仲良く暮らすどころではないと言っています。
やはり、ここはおおかみが登場し混乱が起きるところ。
2年生もおそらく、混乱するところだと感じました。
おおかみではなく、きつねの食べたい気持ちだよと念をおしてから再度考えさせました。
チャッくんはなんと、きつねがおおかみを、ひよこ同様に食べる対象として認識してしまったと読み取っています。
仕方ありません。
ひよこ→あひる→うさぎ→おおかみ
という順番ででてきてるわけですから、当然と言えば当然です。
ここで、豊かな語彙力や想像力が求められます。
おおかみとは一体なんなのか?
ひよこたちと同列に扱ってよい動物なのかということです。
子ども達は逆に、ここは並列ではないとおそらく言い切ることでしょう。
なぜか?
物語の中に登場するおおかみとは悪い存在であることが多いからです。
だから、逆に、チャッくんの思考回路を活用して、揺さぶると面白くなります。
T「ひよこ、あひる、うさぎ、おおかみと登場してきたのだから、きつねは、おおかみも食べたいと思ったんじゃない?」
C「そんなわけないじゃん!!」
T「どうして」
C「だっておおかみの方が強いよ」
T「そんなことどこに書いてあるの?」
C「ええと…」
T「「うまそうだな…」っていってるよ」
C「先生、そのうまそうだなって、きつねじゃないよ。オオカミが言ったんだよ」
T「そっか~~たしかにそうだね」
T「この食べたいメーターは、きつねが、ひよこ、あひる、うさぎを食べたい気持ちを数で表すんだったね。みんなのおかげで間違わずにすんだよ」
このような問答を通して、混乱している子たちも方向修正させるのです。
仲良く暮らしたいメーターの指数は3に減っています。
理由が、きつねはおおかみを避け、自分の命を守ることが最優先されるからですとなっています。
ちょっと読みがずれてきました。
4場面は文の数が少ない上にクライマックスに近づいていきます。
行間を読まないと理解が追いつきません。
チャッくんが一番苦手にしてるところ。
それは、国語が苦手にしている子も同じ思考回路なのです。
食べたい指数は本当に8なのか問い直すと、
7に変更してきました。
もう少し突っ込んだことをきかないといけないようです。
再度聞いたものの、あんまり変容がありませんでした。
そこで、おおかみの発言を本当におおかみの発言であることを理解しているか確認したところ、それは間違っていませんでした。
もう少しねばってみました。
ですが、食べたい指数は結局9に逆戻りしてしまいました。
おそらく、9になってしまったものの、いろいろ考えた上での9なので成長の跡は見られます。
おおかみが、ひよこ、あひる、うさぎを食べようとしたことは理解できたようです。
もし、おおかみがひよこたちを食べてしまったら、自分が食べることができなくなってしまうため、食べたい気持ちが高まったという捉え方をしたんじゃないかと感じました。
チャッくんから引き出した答えではありませんが…
おそらく、2年生で授業したとしても、同じような結果になる可能性もあるかと思います。
混乱してるようなので、納得いくまで、まだまだ突っ込んできいていきます。
最終的には、きつねの本能的な欲求が強まったため、食べたい指数が3場面の7から8に上昇したという答えとなりました。
独特な理由すぎるよ~~チャッくん。
クラスにチャッくんいたら、面白そう。
こんな風に変わった意見を言ってくる子が大好きです。
混乱をこれ以上避けるため、チャッくんには、おおかみときつねでは、おおかみの方が強いことはインプットさせました。
さらに、おおかみと戦った場合、死んでしまう可能性もあることを伝えました。
その上で、きつねは、自分もいることをおおかみにあえて伝えたことで、ひよこたちから気をそらせようとしたことを読み取ることができました。
あとは、ひよこたちから、自分に注意を向けさせた理由さえわかればいいんだけどね。
やっぱりチャッくん!!
期待を裏切らないところがいいよね。
結局、ひよこたちを守るんじゃなくて、自分の危険を回避するための術だったという結論。
独特な見解すぎる…
ひよこたちを置き去りにして自分だけ助かりたかったということなのだろうか?
こっそり逃げたほうが助かるんでは?と問いかけると、
逃げる方が合理的と理解するチャッくん。
そうなると、きつねがなぜ、自分の存在をわざわざおおかみに教える行動にでたのかが、説明できないと考えました。
ここに、物語文の読み取りの難しさがあるのがわかります。
前後関係から読み取っていくしかありません。
ちょっとチャッくんには重荷かな…
ここで、きつねがおおかみと戦う理由について考えさせました。
すると、3つの仮説を立ててきました。
1、2については、読み取ったことをもとにしている仮説になってるのがわかります。
3の奇策や知恵を駆使するは、チャッくんらしい、独特な仮説。
こんな意見が授業でできてきたら、面白そう、だけど脱線しないで操縦するのも同時に難しそう。
ここで脱線したらいままでの苦労が水の泡となるので、3には触れません。
1の仮説を広げてみることにしました。
焦点をしぼって対話していくと、核心に近づいてきました。
やはり、授業において、
「焦点化」
はとっても重要と言えます。
チャッくんも
「いやまだ、いるぞ、きつねがいるぞ。」の1文に深い意味があることがわかり満足気です。
しかし、ここから迷走が始まりました…
というのも、私自身がいけないのですが…
かなり体力消耗です。
私の100あったHPも残りあと5くらい…
これまでを整理することを促したのですが、表でまとめることを伝え忘れてしまったのです。
さらに、これまでチャッくんが、考えてきた指数と微妙に違っていました。
これを修正するのはかなりの労力が必要です。
とりあえず、細かいところは捨てて、大事な読み取りを理解させることをゴールにちょっとずつ修正することにしました。
授業でも同様です。
予定通りにいかないことの方が多い授業。
修正しながらゴールにむかう調整力が求められます。
おおかみから、ひよこたちを守りたい気持ちが高まったことは読み取れています。
さらに、ひよこたちを助けたあと、きつねはひよこたちを食べてしまうか考えさせると、物語の前後関係から、
きつねが助けた仲間たちを食べようとしていたとは考えにくいです
と返答。
一番チャッくんが苦手をしている、前後関係の読み取りができるようになってきています。
成長したね、チャッくん!!
少しずつ修正されてきています。
これでかなり数値もほとんど修復できました。
ふう…疲れた~~もうHPは残り2…
最後までもつかな~~
おおかみだけは理解が難しいのか、おおかみに対する欲望があると勘違いをしているチャッくん。
まああまり刺激しないで、きつねの読み取りに集中させていこう。
最後の読み取りに近づけていくために、生きることの意味や人間の葛藤などについても考えさせてみました。
2年生にはもちろん無理ですが…
教材研究の一環としてやってます。
チャッくんの、読みを確実に深まってるのがわかります。
これは、2年生に教える際にも同じことがいえます。
物語がすすんでいくのと同時に自分の読みが深まっていることを子どもたちに実感させていきましょう。
そのためには、ノートの記述や振り返りなどを活用するのです。
ノートを紹介し、深まったところを先生が価値付けしてあげればよいのです。
そうすれば、2年生でも読みの深まりを実感できます。
残りHP1でギリギリ4場面を乗り切ることができました。
ふうっ~~
次回はいよいよ5場面。
どうなるのか楽しみです。
それではまた!
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