カナリア

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  • 読書の良いところ

    読書はつまらない、面白くない、読んでも意味がないと想っている方の考えを変えたいと思い書きます。

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sexyzone「not found」

私が好きな曲です。 皆に聴いてほしいです。

    • 明治東亰恋伽(試し読み11)

       底冷えのするような、硬く低い声。  おそるおそる顔を上げると、背の高い男性と目が合った。怜悧な面差しに見下ろされ、緊張が走る。「招待状を見せてもらおう」 「・・・・・・え?」 「近頃はこの辺りも物騒なものでな。政府筋の人間が集まる場所に紛れ込もうとする、不審な輩が後を絶たん。ついては身元確認の協力を願う」  芽衣は息を呑んだ。 (もしかして、警察・・・・・・?)  彼は無言のまま警官帽を目深にかぶり直した。その腰には金の柄が輝くサーベルが携えられている。ーサーベル? 「あ、

      • 明治東亰恋伽(試し読み10)

         そう説明しながらチャーリーが指さしたのは、ピンストライプのスーツを来た青年だった。  スマートな長身で、顔立ちは凛々しく、それでいて人目を惹く華やかさがある。その快活な笑顔と色香を漂わせる目もとに、ついつい芽衣も視線を奪われてしまった。 「おいおい、押すんじゃねえよ。俺はダンスなんざ踊れねえって言ってんだろ?」 「そうはおっしゃらずに、一曲だけでもよろしいではありませんか」 「ええぜひ。うちの娘も、浅草の仲見世で貴方の錦絵を買い求めましたのよ。次の舞台はいつですの?」 「さ

        • 明治東亰恋伽(試し読み9)

           学生服での参加者が自分だけではないとわかり、芽衣は心から安堵した。しかし彼は、一方的に親近感を抱く芽衣をはねのけるような目つきで、 「鴎外さん。このご婦人は?」 「うん?ああ、彼女とは今知り合ったばかりなのだよ。つい話に花が咲いてしまってね。これから銀座のカフェーにでも誘おうかと思った矢先に、おまえという邪魔が入ったわけだ」  同意を求めるように彼は微笑みを向けてきた。なんと返事をするべきか戸惑っていると、学生服の青年はあからさまに眉根を寄せる。 「・・・・・・鴎外さんは相

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        記事

          明治東亰恋伽(試し読み8)

           すらりとした佇まいを彩るのは、金糸で精緻な刺繍が施された白い軍服。肩には金の肩章が揺れている。ひとめで位の高い人が着るものだとわかる衣装を、目の前の青年は気負いなくスマートに着こなしていた。  やけに完成度の高いコスプレだなあと、ぼんやりと芽衣は思う。  失礼は承知でついじろじろと見てしまう芽衣を、彼もまた興味深そうな面持ちでじろじろと眺めている。ひとしきり観察しあってから、二人は同時に目を合わせた。 「ふむ。実に合理的な洋装だ」  青年は腕を組み、何やら感心したように頷い

          明治東亰恋伽(試し読み8)

          明治東亰恋伽(試し読み7)

           それにしても、これは一体どういうパーティーなのか。目の前で繰り広げられる豪華絢爛な光景に、芽衣は圧倒されっぱなしだった。  優雅な管弦楽の音色に合わせて、人々が社交ダンスに興じている。大きなシャンデリアの下では銀のカトラリーが上品な輝きを放ち、お仕着せの給仕たちがきびきびとした動作で飲み物や料理などを運んでいた。  ただひとつわかるのは、このパーティーはカジュアルではなく、限りなく本気のフォーマルであるということだ。女性は例外なく、ここはべルサイユ宮殿かと見まがうようなクラ

          明治東亰恋伽(試し読み7)

          明治東亰恋伽(試し読み6)

           はっきり「ない」と言い切らないその曖昧な表現に、一抹の不安がよぎる。 「と、とにかくやめておきましょうよ。こんなパーティー、どう考えても間違いだし」  燕尾服のチャーリーはいいとしても、高校の制服だとひとめでわかる名の学校では有無を言わさずつまみ出されてしまいそうだ。 (高校?)  芽衣は改めて自分の服装を見た。チェックのスカートに黒のブレザー。胸のリボン。  そう、これは高校の制服だ。  ふいに教室の風景が脳裏に浮かぶ。続いて同級生らしき少女たちの笑い声が鼓膜に蘇った。

          明治東亰恋伽(試し読み6)

          明治東亰恋伽(試し読み5)

           ーこの宮殿は、一体なんなのか。  闇夜の中で幻想的に輝く建物を呆然と見上げながら、芽衣は思案する。  宮殿なのか城なのか、とにかくその規模は広大だ。二階建ての砂糖菓子のような純白の外壁には半円のアーチ窓がずらりとはめ込まれ、室内のきらきらとしたまばゆい光がこぼれている。  どうやら今夜はパーティーが開かれているようで、美しく着飾った紳士淑女たちが扉の向こうへと吸い込まれていくのが見えた。 (すごい・・・・・・)  こんなにきらびやかな建物が日比谷にあるとは知らなかった。  

          明治東亰恋伽(試し読み5)

          明治東亰恋伽(試し読み4)

           そう、それが自分の名前だ。もちろん自分の名前くらいわかっている。  指の隙間からすり抜けていく記憶の中でこの手のひらに唯一残ったもの。皮膚の一部みたいにしっくりと馴染むその響きを、芽衣は嚙みしめるように反芻した。 「ふうん、芽衣ちゃんか。いい名前だね」  そんな大切な名前を、男は気安い調子で口にする。  彼は一体何者なのだろう。悪い人ではなさそうな気はしているのだけど、理解不能な言動が多すぎて、どう接していいのかいまひとつよくわからない。 「あなたの名前は?」  ここは名乗

          明治東亰恋伽(試し読み4)

          明治東亰恋伽(試し読み3)

           するとその時、不穏な空気に不釣り合いな声が辺りに響いた。  芽衣がびくりとして振り返ると、シルクハットに燕尾服姿の怪しげな男がこちらへと近づいてくる。目が合うと、男は片眼鏡の奥の瞳を細めた。 (あれ?この人、確か・・・・・・)  どこかで見覚えがあるのだが、すぐには思い出せなかった。こんなに派手な身なりをしている人物をそう簡単に忘れるわけもないと思うのだが。 「やあやあ、無事だったようだね。お嬢さん」 「あの、私」 「うん、大丈夫。どうか警戒しないでほしい。僕はね、決して怪

          明治東亰恋伽(試し読み3)

          明治東亰恋伽(試し読み2)

          「・・・・・・わああぁっ!」  氷のような感触に、眠気が吹き飛んだ。  綾月芽衣は声を上げながら飛び起きる。と同時に、反射的にサンドテーブルと手を伸ばしていた。そこが目覚まし時計の定位置だからだ。  しかし芽衣の右手は、むなしくも宙を切る。  なんの手応えもないことを不思議に思いながら、芽衣はごしごしと目をこすった。 (いま、何時?)  あとどれくらい眠れる余地があるのだろう。部屋の中が薄暗いということは、まだ夜明け前なのだろうけどー。  ふいに寒気がして、芽衣は自らの身体を

          明治東亰恋伽(試し読み2)

          明治東亰恋伽紅月夜の婚約者試し読み

           ー起きてよ、芽衣ちゃん。  頭の中で誰かの声がした。  聞き覚えがある気もするが、はっきりとはわからない。そのくせ、ひどく懐かしいのが腑に落ちなくてつい、眉間の皺が険しくなる。思い出せないもどかしさに寝返りを打つ。  ー芽衣ちゃん、そろそろ起きなくちゃ。  とは言われても、そう簡単にはいかない。だって目覚まし時計のアラームはまだ鳴っていないのだ。あのけたたましくも忌々しい音が朝を知らせるまでは、一秒たりとて早く起きてやりたくはないと芽衣は思う。 「おや、よく眠っている

          明治東亰恋伽紅月夜の婚約者試し読み

          明治東亰恋伽を読んだ自分の思い

          明治東亰恋伽を読んでみました。 アニメや実写化されているのですが、全て最後の展開が違います。なので書籍、アニメ、ドラマ、映画をみて下さい。(書籍以外はU-NEXTで観ることができます。) 話の内容は、主人公綾月芽衣が突然明治時代へタイムスリップして明治時代の有名人と出会う恋愛物語です。 これを読んで、主人公から勇気を貰いました。 ※ネタバレあります。

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          明治東亰恋伽を読んだ自分の思い

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          溺愛したりない。(試し読み7)

          『遅刻しない。約束する』     高良くん、昨日はああ言ってくれたけど・・・・・・今日は来てくれるかな・・・・・・。  朝。学校に向かいながら、高良くんのことを考えていた。  もし、高良くんが教室にいたら・・・・・・楽しくなりそうだな・・・・・・。  高良くんが登校してきてくれたら・・・・・・おはようって言ってもいいのかな・・・・・・。  私は休み時間に話すような友達はいないし、挨拶をする友達さえいないから、そういうのに憧れがあった。  というか、改めて友達がひとりもいないっ

          溺愛したりない。(試し読み7)

          溺愛したりない。(試し読み6)

          【side 高良】  その日は、珍しく学校にいた。  学生証が必要になったけど、今まで一度も使ったことがなく、ロッカーに入れっぱなしなことを思い出したから。  一応担任にも補習の件で呼び出されていたけど、それは無視でいい。  とっとと学生証を取って帰ろうと思ったのに、教室に近づくにつれ中から声が聞こえた。 「委員長のおかげで、うちのクラスは安泰だ」     誰だよ・・・・・・ちっ、わざわざ放課後の人が少ないだろう時間帯に来たのに。  クラスメイトやほかの生徒に会うのは鬱陶しい

          溺愛したりない。(試し読み6)

          溺愛したりない。(試し読み5)

           翌日。  昨日は、あんまり眠れなかった・・・・・・。  補習が終わってもぼうっとしてしまって、高良くんの告白が何度も脳裏をよぎって、あのキスの感触も・・・・・・ずっと離れてくれなかった。  上の空で、学校までの道を歩く。 「おーい、たま!」  後ろから聞こえた声に、ぎくりと体が強張った。  声の主は・・・・・・幼なじみの、岩尾くんだ。  彼は私にとって・・・・・・悪魔のような存在。  いつもは、岩尾くんと会わないように急いで登校していたけど、今日は高良くんのことで頭がいっぱ

          溺愛したりない。(試し読み5)