一期一会。渋温泉の旅。大好きな街がまたひとつ増えました。【おひとり様女子旅記録】
長野県 渋温泉。
昭和レトロな石畳と9つの外湯、
千と千尋の神隠しのモデルとなったお宿のある温泉街…として有名です。
共同浴場である「外湯」は住民の共同浴場で
一般開放はしていませんが
渋温泉に宿泊すれば「一泊住民」とし
て無料で入浴できます。
一泊2日の弾丸おひとり様旅で
今回選んだお宿は「金喜ホテル」さんです。
温泉街の中に佇むこちらのお宿は
情緒ある温泉街にありながらも
最高にリーズナブル。
有名な渋温泉外湯巡りの一つ
4番湯「竹の湯」の隣にあります。
九湯巡りするにも最高の立地です。
仲の良いご家族で経営されていて
皆さん、一生懸命にお宿を運営していて
とても好感がもてました。
チェックイン前に荷物を預けて
早速外湯めぐりへ。
宿に用意されている下駄を引っかけ
満願成就タオルを購入しての
「厄除巡浴外湯めぐり」。
それぞれ泉質も効能も異なる9つの共同浴場を
すべて巡れば、苦(九)労を流し厄除け、不老長寿にご利益があるとか。
効能あらたかな外湯巡りにチャレンジしてきました。
基本的に激アツな渋温泉、
前にどなたかが加水してくれたのか
入りやすい温度のお風呂もあり
手を浸けただけで「アチっ!!」と叫び声が出るようなお風呂もあり。
数カ所巡ったところで
いい時間になったので
お宿にチェックインしました。
お宿の建物全体は古びていますが
掃除はきちんとされているので不快感はありません。
コタツのある広いお部屋も
大変快適でした。
お風呂は大浴場と貸し切りヒノキ風呂があり
それぞれ源泉が違うそうです。
一本は独自源泉である46度の単純温泉、
もう一本は94度の石の湯第一ボーリングとのこと。
まずは地下の大浴場へ。
大きな岩を伝って温泉が流れ、
黒い湯の華舞う無色透明の柔らかいお湯でした。
こちらの岩風呂は通常は男湯なのですが
岩風呂に入りたい、と言ったら
今日は他にお客さまが居ないとの事で男女の暖簾を入れ替えてくれました。
もう一つのお風呂は
ホテルの階段下スペースが脱衣所にあしらわれた貸切ヒノキ風呂。
白い湯の華舞うピリッとした湯肌の
アツアツの硫黄の香りのお湯です。
湯揉み棒で本気のシェイクをすること数分
何とか入れる温度になります。
一階にある貸切ヒノキ風呂は
窓を開けると外の風が気持ちよく
半露天風呂気分。
でも、窓の外は歩道です。
2つの温泉を思う存分楽しめる
このお宿のお風呂が予想以上に良かったのは
嬉しい誤算です。
外湯巡りの続きはどこへやら
その日は一晩中、お宿のお風呂を何度も何度も堪能しました。
夕食は『信州ブランド豚みゆきポークの豚丼』です。
身は引き締まっているのに柔らかな肉質のみゆきポーク、脂質の甘み・コクが特徴です。
地元でほぼ消費されてしまう”幻の味”とのこと。
(ホームページより)
カジュアルプランの食事、という事で
こちらも理解して予約していましたが、
夕食に丼と漬け物がドカンと提供される
インパクトはなかなかのものです。
超一流ブランド豚を使った豚丼は
お肉も柔らかく香ばしく
お米も美味しく
大満足な夕食となりました。
このお宿には看板娘ならぬ、2歳の男の子がいました。
ちょこちょこして愛嬌がよく、
とってもとっても可愛かったです。
夕食後にロビーでサッカーボールで遊んでくれたり
「帳場でおしごと」するパパの真似を
一生懸命見せてくれたりしました。
「よく見てるな、コイツ」とご主人もビックリ、嬉しそう。
翌朝、残りの外湯巡りをコンプリートしたあと
渋高薬寺にお参りして満願成就です。
急な石段を登ってお参りしていたら
後ろから明るい声。
「気をつけて降りてね」
振り返ると笑顔がかわいいおばあちゃま。
この急な石段の上にお一人で
20歳の老犬と暮らしているという。
91歳ですって。
しばし楽しくお話しをさせていただき
ツーショット記念撮影までさせていただいて
いつまでもお元気で、と
握手してお別れしました。
私と同じように温泉街を湯巡りして歩いている方の中に
可愛い真っ赤な丹前を浴衣に羽織っている人が何人もいました。
どこかのお宿にお泊りの方たちなのでしょう。
女性はもちろん、男性にも粋に似合ってる。
あの真っ赤な丹前、購入できないかしら…と
後を付けて大湯の並びの立派な旅館にお邪魔しました。
(その旅館のお名前忘れてしまいましたが)
残念ながら販売はしていないとのことですが
ウチの丹前を褒めて貰えたなんて初めてだ、とそのお宿のご主人はとても喜んで
美味しいコーヒーまで出してくれました。
朝食前の忙しい時間に…と恐縮する私に
このご時世でやはりお客が入らず
全然大丈夫、ゆっくりして行って!とご主人。
色々なお話を聞かせてくれました。
先ほどのおばあちゃまは
渋高薬師の住職で
故瀬戸内寂聴さんと同等の仏位をお持ちの
中山知光さん、なんですって。
どんな方にも分け隔てなく
親切に話しかけてくださるけど
たいへんありがたいお方なんだよ、って。
渋温泉の九湯巡って
手拭いにスタンプ押して満願成就…は
彼女が考えた町を盛り上げる作戦だったんですって。
…………
「今の世の中は女性の力で成り立っているんだ。
おばちゃんやおばあちゃんの元気や
リーダーシップ、コミュニケーション力が
経済を、町を引っ張っていってる。
それに比べて男性は全然ダメだ。
昔の栄光や肩書き、プライドの上にあぐらをかいて、ボーっと魂が抜けた状態で使い物にならない。
元々女性は
みんなで協力し、助け合い、他人の意見を求め、社会生活をするようにできている。
それを近年、
ライフワークバランスだの
働き方改革だの、
そういう型にはめた言い方を持ち出すのは
まさに男性的視点。
女性がイキイキ、のびのびと
活躍することこそが
世界、社会、町が盛り上がる鍵である。
このことに男性が
気づかないと街は衰退の一方だ。
地図から街がなくなってしまうよ……」
…………
熱く語るご主人。
激しく同意する私。
渋温泉の今後に強い危機感を持っていらっしゃる事が伝わってきました。
盛り上がってしまって予想外の長居。
そのお宿で販売していたリンゴや、手作りの小物を何点かお買い物して
金善ホテルに戻って朝食です。
朝食後も時間ギリギリまでお宿のお風呂を楽しみました。
そして、チェックアウト。
温かな交流がたくさんできました。
宿代以上のお得感があるリピートしたいお宿でした。
そして、素晴らしい出会いをくれたこの旅。
大好きな街がまたひとつ増えました。
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