『春期限定いちごタルト事件』米澤穂信
また本を読みました。
先月あたりから普段より読書欲3割増しです。
知り合いに紹介してもらった『春期限定いちごタルト事件』。
『氷菓』や『インシテミル』などで知られている米澤穂信先生の青春ミステリです。
10年以上前にも知り合いがおすすめしていたようなきがするのですが、何の因果かこのタイミングとなりました。
同じ青春ミステリとしてどうしても比べてしまうのは『氷菓』から始まる古典部シリーズ。
古典部シリーズも記憶が正しければほとんで読んでいるはずで、アニメも観たと思います。
小鳩くんと小佐内さんが小市民を名乗って?目指して?いるので、氷菓に比べると謎が小さいような気がします。
最後は思いっきり犯罪に絡む事件なので、小市民ではいられないのですが。
本を見た目で判断する気はありませんが、表紙が可愛らしいのでもっとポップな感じかと思いましたが、しっかりビターな米澤穂信でした。
図書委員シリーズも似たようなところがありますが、ライトで軽そうな入口から入って、次第に暗いところに踏み込んで行ってしまう感覚が好きですね。
ライトな入口、ビターな深淵といったところでしょうか。
5つの短編が収録されているのですが、なかでも「おいしいココアの作り方」が好きです。
ミステリとしてはすごく小さいんです。
ココアを作った後にシンクが濡れていない。なぜ。
これだけ。
だけど、これがいい。
謎も解決もすごくスケールの小さい話で、だからなに?って受け取られてしまいそう。
5編目の「孤狼の心」に関係ないこともないのですが、謎そのものは単発ですのでここだけの謎となっています。
そんな小さな、くだらないミステリが「らしい」んです。
『遠まわりする雛』の「心あたりのある者は」に近いもの感じます。
劇的なミステリも良いのですが、日常の細かい謎の方が関心させられるというか、ハラハラせずに落ち着いて読めるのがまた違う味がしてこちらも好きです。
本筋に関係あるのかないのか微妙なところですが、小佐内さんの甘いもの描写が胃と舌を刺激します。
私も甘いもの好きなのでどうしても耐えられず、近所のスーパーでチョコクレープとモンブランを買ってきました。
本を読みながら食べるのはあまり良い組み合わせではないのですが、お腹は減るし続きが気になるし……
夏も秋も、最近発売された冬もこの勢いで読み進めたい所存です。
アニメ化するみたいなので、早めに知っておきたい人はいまがチャンスですよ。
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