木曜日に嬉しくなる先輩へ
以前の職場に、木曜日は嬉しいと言う先輩がいた。
私は労働が嫌いで嫌いで、木曜日も大嫌い。
金曜日なら分かる。
あと一日乗り切ればお休みって事実は誰にとっても嬉しい。
だけど木曜日は正直、ない。
だって一日なんとか乗り切って、それでもまだ一日残ってる。
家に帰って、明日の準備をして、また出勤しないといけない。
そんな木曜日の何が嬉しいのか。
と当時の私は思っていた。
時間が経ち、私も当時の先輩と同じかそれ以上の年齢になった。
今ならなんとなくわかる気がする。ちょっとだけね。
木曜日を許せる気がする。前ほど嫌いではなくなった。
きっと仕事量を自分で調節できるようになったからじゃないかと思う。
入社した当時の私は「死にそうな顔で仕事をしている」と言われていたらしい。
自覚はなかったが、いま思えば辛い2年間だった。
人を呪ったこともある。
更にその数年後には自殺が頭をよぎるまで追い詰められ、鬱が悪化して退職することになったが仕事にも慣れて自分の体力に併せて仕事量をコントロールできるようになった。
人を嫌い、自分を殺しながら得たものはズタボロのメンタルと無理をしすぎると潰れるという気付きだった。
無理をしない、というのは簡単なようでいて難しい。
誰かが仕事をやらないと他の誰かが仕事をすることになる。
そんな会社で働きたくない私は頼まれたことは全て引き受ける癖がある。
当時は困っている人が目の前にいるのが許せない性分だった。
そのまま放っておくなら私が全てを被って死んだ方がいくらか良いとさえ思っていた。
今でもその片鱗は残っているが、少しは落ち着いたように思う。
そんな勢いで仕事をしていたもんだから平日に迫りくる五連勤に耐えられるはずもない。
木曜日、金曜日には潰れるような気持ちで出勤をしていたのだと思う。
それから刻は経ち、適度に力を抜くことを覚えた。
無理をして走り続けることをやめた私は、木曜日が嫌いではなくなった。
月曜日から徐々に体力が削られることを念頭におけば、毎日駆けずり回るのは無理があったのだ。
木曜日最高!とまではいかないけど、木曜日には木曜日の良さがあるね。
もう二息、ふんばるぞ。
(そ)
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