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大阪のおばちゃんは近所の小母ちゃん?オタマジャクシと松ぼっくり

大阪のおばちゃんのステレオタイプのイメージについて

 大阪のおばちゃんの豹柄厚かましくてというメディアTVのイメージに違和感を感じる。私の知っている大阪のおばちゃんの大多数は、豹柄でもないし、厚かましくもないし、声も普通だし、他人の私に飴なんかくれない。
 「望ましくない行動」ほど記憶に残りステレオタイプのイメージを作るらしい。豹柄も、声が大きいのも、厚かましいのも、私のような地方出身者、あるいは東京の人から見るとあまり良いイメージとは言えない。
 確かにステレオタイプのおばちゃんもいるにはいるが、決して大多数ではない。ごく一部だ。一部の人を一般化するのを偏見という。偏見から差別は生まれる。偏見差別ステレオタイプの思い込みから始まる。

昔も今も大阪のおばちゃんのイメージは浪速千栄子さんでは?

 ちなみに私は地方出身者だが、祖母も母も大阪生まれの大阪育ちだった。祖母は元芸者で粋な人で※煙草盆(たばこぼん)で煙草を吸い、子供たちに花札を教えてくれた。親戚も小粋でやさしい※浪速千栄子さんタイプのおばちゃんが多かった。1970年代までは大阪のおばちゃんと言えば浪速千栄子さんだが、私は今も浪速千栄子さん的大阪のおばちゃんは多いと思う。おしゃべりで気安いが、どこかキリッとしたやさしさを持っていた。
浪速千栄子:NHK朝ドラ「おちょやん」のモデルとなった名優杉咲 花さんが演じていた。

オロナインの看板の浪速千栄子さん

 小津安二郎監督の「彼岸花」(1958)京都の旅館の女将役を演じる浪速千栄子さん。この映像は京都のおばちゃんですが、中身は同じなので…。

私が感じる大阪のおばちゃんのイメージ「近所の小母ちゃん」

 私が感じる他府県と大阪のおばちゃんの違いは「距離感が近い」人比較的多い。あくまでも他府県より多いだけでそれ以上でもそれ以下でもない。
 「距離が近い」という事は近所のおばちゃん
 大阪のおばちゃん
は今は使われない常用漢字外の「小母(おば)ちゃん」のイメージに近い。❛近所の小さなお母さん❜みたいな小母ちゃん
 そういえば浪速千栄子さんは「大阪のお母さん」とも言われていた。
 小母ちゃんなので困っている人を見ると心配するし、わからない事があると突然、聞く。で、こちらも心配になり聞かれると教える。でもそれだけ。目的を達成すればそれ以上関わらない。けっこうクール。
 でも一緒に過ごした時間は楽しい。以後「大阪のおばちゃん」を漢字の「小母ちゃん」で表記してみる。

オタマジャクシと大阪の小母ちゃん

 私も散歩をしていて、たまに突然、小母ちゃんに話しかけられる。もちろん知らん顔で通り過ぎるおばちゃんの方がほとんどである。でも話しかけられると、その事だけが記憶に残る。
 去年も、古墳回りの池一面に、小さな泡が浮かんでは消える不思議な光景をジーっと見ていて、小母ちゃんにいきなり話しかけられた。
「あれ、なんなん?」
 見ず知らずの人にいきなり質問。某TV番組の出川さんが海外に行って出川イングリッシュ(彼流の無茶苦茶な英語)で話しかけ、道を聞くあのやり方である。立ち止まって一緒に考えざるを得ない。
 私もずっと気になっていた景色なので、実は先日の散歩でジーっと池を見ていた。
 よく見ると足の生え始めたオタマジャクシが水面で息をして、また水底に沈んでいく。お堀の水面に小さな無数の泡が浮かんでは消える。
「…オタマジャクシ?なのでは?…」
 小母ちゃん
としばらく池をジーっと見ていた。4月初めの夕暮れの頃。

おばちゃんと二人で見ていたオタマジャクシが浮かぶ池

 すると唐突に
「オタマジャクシか。そやな、オタマジャクシやな」
 
と納得して
「池汚いし、息苦しんやろ」
 
と言って小母ちゃんは、顔をしかめて去っていった。
 帰って調べてみると、決して池が汚いということではなく、足が生えた頃のオタマジャクシは呼吸から呼吸に変わる変わり目。
 水底より水面近くの方が酸素濃度が高く、口呼吸もできるので、ときどき水面に上がって来るらしい。次会ったら教えてあげようと思うが、一期一会なのか、まだ会う事ができない。

松ぼっくりと大阪の小母ちゃん

 五月早朝、古墳回りの池を歩いていると松林をジーっと見て立ち止まって考えている小母ちゃんがいた。ジーっと松の方を見てたはずなのに私が通り過ぎる瞬間、話かけられた。
「私、長い間生きてきたけど、松ぼっくりこんな枝の先にできるん知らん
 かったわぁ。これ松ぼっくりやんなぁ?」

小さな松ぼっくりと下に緑の松ぼっくり
小さな松ぼっくり

 私も気になっていたので、立ち止まって一緒に考えた。
「この先に出来てる小さいのですよね、松ぼっくり?ですかね」
 小母ちゃんは「小さい松ぼっくり、かわいらしいなぁ?

若々しい緑の松ぼっくり

 そして、小母ちゃんは下の緑の若々しい松ぼっくりを指さし
「これは?」と聞く。
松ぼっくりですね」

本来の茶色い松ぼっくり

 次に小母ちゃんは本来の茶色い松ぼっくり指差し
「これがほんま松ぼっくりやろ?」
私「・・・・・」
 たぶんおばちゃんが聞きたかったのは、どういう仕組み小さい松ぼっくりが、緑の若々しい松ぼっくりになり、本来の松ぼっくりになるのか?
 その過程ではないか?と思うが、私も本当のところは知らないので何とも
言えない。
 で、二人でしばらく松を見ていた。すると唐突に
「ごめんな、呼び止めて、ありがとう」
 
と言ってクールに去って行った。
 私は帰って松ぼっくりの事を調べて、次会ったら…。と思っているがまだその小母ちゃんにも会っていない。
 もし関西に来て、大阪の小母ちゃんに唐突に話しかけられたら、好奇心の強い近所の小母ちゃんなんだと思って接すると、意外と幸せな時間が過ごせます。あくまで私見ですが…。

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